『エネミー・オブ・アメリカ』感想・紹介・レビュー【硬派アクションの名作】
エネミー・オブ・アメリカ
1998年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンスアクション映画。
監督をトニー・スコット、脚本をデビット・マルコーニが務めた。
出演
- ウィル・スミス
- ジーン・ハックマン
- ジョン・ヴォイト
- レジーナ・キング
- ローレン・ディーン
- バリー・ペッパー
テロ防止法を巡って起きた暗殺事件の証拠であるビデオを、偶然掴んでしまった弁護士が事件の首謀者に追われながらもその陰謀に挑む姿を描いた今作。
今作をの監督を務めたトニー・スコットは、兄であるリドリー・スコットと比較されて過小評価されがちではあるが、今作や他作品からも分かる通りストーリーの展開の仕方、映画的な描写の面白さは勿論のこと、非常に現代的なテーマを扱いながらもしっかりとエンターテインメントに仕上げてくるその監督としての力量は兄とは違う素晴らしい才能を持っていると思う。
純粋な告発、法廷物としては『ペリカン文書』(1993)『ニューオーリンズ・トライアル』(2003)と比較してしまうと後塵を拝するかもしれないが、良く出来ていて分かりやすいシンプルなストーリーの中に上手く胸焼けしない程度にアクション要素を取り入れていてバランスの良い作品に仕上がっている。
重厚でリアリティに溢れた観たあとに疲労感を感じるほどのサスペンスを観たい人には物足りないかもしれないが、軽めのサスペンス要素を求めている人にはピッタリの作品といえる。
序盤のあらすじ
アメリカ連邦議会ではテロ対策のための「通信の保安とプライバシー法」案を巡って議論が交わされていた。
この法案は、犯罪やテロを防止するものと説明されていたが、法執行機関による監視権限を拡大し、一般市民のプライバシーを大幅に侵害する恐れがあった。
国家安全保障局(NSA)の高官トーマス・ブライアン・レイノルズは、法案を可決させるべく、強硬な反対派の下院共和党議員フィリップ・ハマースリーを、目撃者のいない湖畔で暗殺させる。
レイノルズの思惑通りハマースリーの死は心臓発作による事故死とされた。
だが、殺害の一部始終が、渡り鳥を観察するために設置されていた無人カメラに録画されていたことを、事件現場を偵察していたレイノルズの部下が気づく。
レイノルズは、この事態に対処するため、海兵隊の特殊部隊員数名を工作員としてスカウトする。
引用:Wikipedia
トニー・スコットの作品を観るたびに思うのだが、他監督とは比べられないほど明確なテーマ性があり、それを現代という社会の中で取り扱う姿勢は素晴らしい。
歴史スペクタクルやアクション大作、SF話題作として人気の出るような映像的に派手さのある映画ではないが、扱いづらいテーマを変な表現で逃げるのではなくストレートに表現し、そのまま勝負していくことの出来る数少ない監督だろう。
昨今、様々な会社や組織での情報漏れというものが問題となる。
そういった問題に一石を投じる内容となっていて、ストーリーはフィクションではあるものの、現実でも起こりうるリアリティさを追及していて1度は鑑賞しておきたい作品だ。
小ネタ
NSAは当初撮影への協力を完全否定していたが、出演者にNSA高官の娘がいたのもあり外観の撮影と内部の限られた部屋の見学のみ許可された。
ただし職員への質問は禁じられ、地下にあるといわれるコンピュータールームへの立ち入りも許されなかった。
そのため、撮影では元職員の証言や文献資料に頼らざるを得なかったが、本作でNSAが使う技術はほとんどが実際に使われているものだという。
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『アイデンティティー』感想・紹介・レビュー【隠れたサスペンスの名作】
アイデンティティー
2003年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス映画。
監督をジェームズ・マンゴールド、脚本をマイケル・クーニーが務めた。
出演
- ジョン・キューザック
- レイ・リオッタ
- アマンダ・ピート
- ジョン・ホークス
- クレア・デュヴァル
- ジョン・C・マッギンリー
この作品、日本ではあまり知られておらず観たことはおろかタイトルすら知らない人も多いと思う。
『アイデンティティー』と言われるとほとんどの人が『ボーン』シリーズのことを思い出すのではないだろうか。
そんな知名度の低さとは裏腹に、サスペンス映画として物凄く出来が良い。
あらすじを読んだりしてある程度、序盤の展開の仕方を知っていたとしても作品の世界観に強引に引き込まれるほどのスリルとサスペンスを感じられる。
様々なシーンの映像からそこはかとない気味の悪い寒気が漂っていて、ストーリー展開や演技力だけで成り立っている訳ではなく作品の空気感にもゾッとするような秀逸さ。
勿論、あらすじ等を全く知らない状態で観たらそれ以上の何かを感じることが出来るとは思うが、知っていたところで何ら問題のない驚きの展開の連続にラストシーンの後はいい意味で脱力し呆然としてしまうだろう。
知名度的な問題もあって、ある程度の人は『シャッターアイランド』を彷彿とさせるなぁと思うかもしれないが、今作の方が先に公開されている。
俳優陣も、失礼ではあるがそこまでメジャー級のキャスティングではないし、昨今の映画の中では製作費も決して多いとは言えない。
しかし、サスペンス好きやスリルを感じたい人であれば1度鑑賞することをオススメする。
序盤のあらすじ
死刑囚マルコム・リバースの死刑執行前夜、彼の死刑執行に関して再審議が行われようとしていた。
一方、大雨で身動きが取れなくなった男女11人が、とある寂れたモーテルに立ち往生していた。
偶然居合わせた彼らは何者かに襲われ、次々と殺されて行く。
現場には部屋番号の書かれた鍵がまるでカウントダウンするように残されており、彼らは自分たちの中に凶悪犯殺人犯が混じっていると気付く。
それと同時に、運転手のエドは連続殺人に奇怪さを感じ始めていた。
引用:Wikipedia
ラストの展開の仕方や、まとめかたは人によっては許せない結末かもしれない。
しかし、サスペンス映画として必要十分な結末であると思うし、サスペンスやスリルでハラハラドキドキしたいという欲求は満たされる。
この系統の作品の場合、落ちの付け方が無理矢理だったりご都合主義が過ぎることも多い中、そういったことをあまり感じさせずにある程度のリアリティを維持しつつ良いところに落ち着いている。
終盤までの内容が良く出来ていても、結末次第では一気に評価が変わってしまうのがサスペンス映画の難しい所ではあるので、万人受けするか?と言われると素直に首を縦に振りづらいが、こんな作品があるのを知らなかったというサスペンス好きは騙されたと思って観てみてはいかがだろうか。
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『チェンジリング』感想・紹介・レビュー【事実は小説よりも奇なり】
チェンジリング
2008年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス映画。
監督・製作をクリント・イーストウッド、脚本をJ・マイケル・ストラジンスキーが務めた。
出演
- アンジェリーナ・ジョリー
- ジョン・マルコヴィッチ
- ジェフリー・ドノヴァン
- コルム・フィオール
- ジェイソン・バトラー・ハーナー
- マイケル・ケリー
今作は、1920年代のロサンゼルスで実際に発生したゴードン・ノースコット事件の被害者家族の実話を基に映画化した作品。
タイトルの『チェンジリング』とは自分の子供が醜い子供に取り替えられるというヨーロッパの伝承に基づいた物。
事件の詳細を調べたりして知っていたとしても十分楽しめるとは思うが、基本的にはサスペンス作品なので知らない方がより一層この作品の深く暗く重い世界に入り込めると思う。
事件の詳細説明は省くので、知りたい方は「ゴードン・ノースコット事件」で調べると色々分かる。
実際のところ、今作がどれだけ事実を忠実に描いているのかは分からないが、事件を知らずに観た人ならば確実に「これが実話?盛ってるでしょ」と思うくらい酷い。
そんな時代の中で起きる驚愕の事件、権力を持つ側に逆らうことの恐ろしさや難しさ。
正しいことを正しいと言えない、間違っていることを間違っていると言えない。
実際の事件が今現在で考えれば、とてもじゃないが理解できないくらい酷く重く暗いものということもあるが、作風もきっちりとその酷さを再現しているのもあって観る際はそれなりの覚悟をもって観るべきだろう。
序盤のあらすじ
1928年のロサンゼルス。
シングルマザーで、電話会社に勤務するクリスティンは息子ウォルターを残して仕事に出かけるが、帰宅すると息子は姿を消していた。
クリスティンはロサンゼルス市警察に捜査を依頼し、事件は世間の注目を集めるが、同時に人々は不正が横行する警察に事件を解決する能力があるのか疑問視していた。5か月後、市警のジョーンズ警部からウォルターを保護したと連絡が入り、クリスティンは彼に連れられて駅に向かう。
そこには市警の手柄をアピールするデーヴィス本部長や大勢の記者が集まっていたが、再会した息子は全くの別人だった。
引用:Wikipedia
現在はどうなのか分からないが、それなりにアメリカの警察に対しての知識があれば、ロサンゼルス警察の評判の悪さは知っていることだろう。
だが、今作はそういった知識を持っていたとしても観進めて行くにつれて
”怖さ” ”おぞましさ” ”憤り” ”怒り” ”悲しみ”
など負の感情が次々と湧き上がってくるほどに、良い意味で終始精神に来る作り。
こういった事件に限った話ではないが、今現在当然の様に自分たちが使えているもの、機能している事柄はそれが当然ではなかった時代に、全力で立ち向かった人々が居るからこそだということを改めて実感させてくれる。
どれだけの辛さがこの人を襲ったのだろう
どれだけの恐怖がこの人を襲ったのだろう
どれだけ強く我が子の無事を祈っただろう
こうして想像するのは容易いが、決して本人の感情を推しはかれる人など存在しない。
ただただ、当時こうした出来事があり、それに立ち向かった人が居るという事をまざまざと見せつけられた映画だった。
小ネタ
クリント・イーストウッド監督作はワーナー・ブラザース作品が多く、ユニバーサル・ピクチャーズで映画を製作したのは1975年に公開された『アイガー・サンクション』以来33年ぶりのこと。
公開時(2008年)から80年以上前の事件であることから、作中に出てくる関係者はすべて実名。
クリスティン・コリンズ本人は生涯にわたり息子の生存を信じ続けていたという。
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『ダーティハリー』感想・紹介・レビュー【絶対的な正義】
ダーティハリー
1971年に公開されたアメリカ合衆国のアクション映画。
監督をドン・シーゲル、脚本をハリー・ジュリアン・フィンク、R・M・フィンク、ディーン・リーズナーが務めた。
出演
- クリント・イーストウッド
- ハリー・ガーディノ
- アンディ・ロビンソン
- レニ・サントーニ
- ジョン・ミッチャム
- ジョン・ラーチ
- ジョン・ヴァーノン
今作は1970年代のハリウッドアクションを代表する作品の1つ。
アメリカ・サンフランシスコを舞台に目的遂行の為であれば、どんな手段にも打って出る刑事がベトナム帰還兵で狂った連続殺人犯との攻防を繰り広げるアクション作品になっている。
今作(続編もだが)が凄まじい人気を誇ったため、これ以降に撮影されたアクション映画に多大な影響を与えたとも言われている。
当時のドン・シーゲルとクリント・イーストウッドというのはそこまで人気があった訳ではなかった。
B級映画監督と言われていたドン・シーゲル。
低予算マカロニ・ウェスタンの役者程度の認識しかなかったクリント・イーストウッド。
この2人が生み出した『ダーティハリー』は当時のアクション映画を牽引する存在となるだけでなく、イーストウッド自身も今作でスターとしての地位を確立し最大級の当たり役となった。
そして今作はただのアクション映画というだけでなく、愉快犯的な無差別殺人や電話で警察組織や報道機関を煽る劇場型の犯罪手法、デュー・プロセス・オブ・ローに反するとして凶悪犯が放免されるといったように、当時のアメリカ国内の世相を反映させていてそういった面での見応えも十分。
(監督とイーストウッド曰く、特に世相を気にしたわけではなく単純に面白い作品を作ろうと思っただけとのこと)
ダーティヒーローと時代背景や当時の世相を絶妙かつ巧みに物語の中に組み込みながら、あらゆるシーンに視聴者を魅了する要素が満載。
ストーリー展開も分かりやすく、軽快でテンポよく進んでいく且つ力強く推し進めていく。
1時間42分という時間の中にこれでもかというほど魅力が詰まった作品。
序盤のあらすじ
サンフランシスコのとあるホテル屋上のプールで泳いでいた女性が、何者かによって射殺される。
捜査にあたるのは通称「ダーティハリー」と呼ばれる、サンフランシスコ市警察本部捜査課のハリー・キャラハン刑事。
狙撃地点に残されたメモで犯人はスコルピオと名乗り、市警察に10万ドルを要求。
応じなければ、次はカトリックの司祭か黒人を殺すという。
市警察は支払いを拒み、次の犯行を防ぐために市内の高層ビルに多数の警察官を配置する。警戒中のヘリコプターが不審人物を発見するが、犯人を逃がしてしまう。
犯人は10歳の黒人少年を殺害したあと、さらに少女を誘拐し身代金を要求する。
市は10万ドルの支払を決意、金の引渡しをハリーは命ぜられ、相棒のチコ・ゴンザレスが車で後をつけることとなる。
引用:Wikipedia
ハリー・キャラハンという刑事は表面だけ見ると、粗暴でどう考えても法律上無理があるし、日本じゃ尚更そう思うだろう。
しかし、既存の警察組織や弁護士が振りかざす体裁・体面・法律によって、たった1人の異常者すら食い止められない現状、現場と管理側の決して埋まらないギャップ。
そういった部分に対して”正義”という1つの信念を誰よりも強く持ち、それを果たすことだけを考え行動した結果”ダーティハリー”になる。
愛する妻が犯罪に巻き込まれて亡くしても、折れることなく仕事に向き合い、ただ正義を成す。
冒頭からラストまで一切無駄な設定や無駄な要素がない。
ただひたすらに面白い刑事物のハリウッドアクションを突き詰めて突き詰めて出来上がったのだろうと思わされるほどの完成度。
曖昧な表現や、中途半端な伏線に雑な回収の仕方、歯切れの悪い展開など全く見当たらない。
このカテゴリーの映画として、これが完成系と言えるほどなので1度今作を観てしまうと、良くも悪くも同ジャンル作品を観るときの基準になってしまうかもしれない。
年齢を重ねるごとに面白さが増し、良さを理解出来る素晴らしい作品、まさに傑作。
小ネタ
主人公のハリー・キャラハン役は、元々フランク・シナトラのために用意されていた。
シナトラが辞退したあとも、様々な俳優へオファーが行ったため何度も脚本が書き直されている。
辞退した1人であるジョン・ウェインは、完成した今作を見て出演を断ったことにかなり後悔したらしく、後々ほぼ今作の焼き直しとも言える『マックQ』を作った。
元々シリーズ化を予定していなかったので、あのようなラストになったと言われている。
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『追跡者』感想・紹介・レビュー【消えた犯人】
追跡者
1998年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス映画。
監督をスチュアート・ベアード、脚本をジョン・ポーグが務めた。
出演
- トミー・リー・ジョーンズ
- ウェズリー・スナイプス
- ロバート・ダウニー・Jr
- イレーヌ・ジャコブ
- ジョー・パントリアーノ
- トム・ウッド
今作は1993年に公開された『逃亡者』のスピンオフ作品で、その登場人物であったジェラード連邦保安官上級代理(『逃亡者』では連保保安官補)とその部下の奮闘を描く。
『逃亡者』はテレビドラマのリメイクだが、今作は完全オリジナル作品。
⇊『逃亡者』の記事はこちら⇊
この当時に限った話ではないが、アメコミ原作の映画作品でもないのにスピンオフ作品が製作されるのはかなり稀。
それだけ『逃亡者』という作品、トミー・リー・ジョーンズが演じた”ジェラード”という役柄が人気だったのだろう。
前作では”逃亡する側”が主人公だったため、追われる恐怖や逃亡の身という緊迫感に加えそもそも冤罪で自ら真実を追求するという展開だった。
今作は”追跡する側”が主人公のため、逃亡者がそもそも犯人なのか冤罪なのかというのも分からない中で部下含むチームとの息詰まる追跡劇と次第に明らかになっていく真相を登場人物と同じペースで視聴者側も知ることになる。
その部分とバランスを取るためなのか、相手役が前作は医者ということで知性派だったのが今作の場合はアフリカンのウェズリー・スナイプスが演じていて、全体的に展開の仕方がスピーディーでよりアクション感を加えている。
そして前作で出演していた保安官チームは全員続投しているのもあって、前作を観ていれば何の違和感もなく世界観に入ることが出来る上に、新たにロバート・ダウニー・Jrが加わったことによって前作には無い色が出たことでパワーアップしているのも今作の魅力。
序盤のあらすじ
シカゴで起きた一件の交通事故で、元CIA特殊工作員のシェリダンはニューヨークで起きた殺人事件の犯人として緊急逮捕され、ニューヨークに護送されることになった。
シェリダンは他の囚人とともに、連邦保安官上級代理ジェラードが同乗する護送機に乗せられる。
だが離陸してまもなく、シェリダンは他の中国人の囚人に殺されかけ、その際に破損した機体は急降下しオハイオ川に墜落し、事故に乗じてシェリダンは消える。
こうしてジェラードと逃亡犯シェリダンとの追走劇が始まるが、捜査には、国務省外交保管局捜査官のジョン・ロイスも加わることになった。
引用:Wikipedia
相手役のウェズリー・スナイプスが物凄くはまり役だと思った。
空手などの武道経験があるのもあって、特殊部隊や軍人などの役を良く演じているからかアクション的な動きに違和感が無く身のこなしが綺麗。
トミー・リー・ジョーンズは言わずもがな指揮官だったりいわゆる上の立場の役柄が多いので、部下を率いている姿がピッタリ。
冒頭でも述べたが、今作は前作にアクション的要素を加えてスピーディーな展開になっているのだが、続編やスピンオフでそういった変更や変化があると、大抵元の作品の良さを消してしまうレベルで変わってしまう事が多くそうなると劣化したとか前の方が良かったという声が多くなってしまうことが多い。
しかし今作の場合は、ストーリー展開の仕方は前作の良さをそのまま継続しつつ相手役がハリソン・フォードからウェズリー・スナプスに変わり、上手くスピーディーなアクション要素を追加してアクションサスペンスとしてバランスの良い作品に仕上がっている。
20年以上前の作品ではあるが、前作の『逃亡者』とともに『追跡者』はサスペンス作品が好きな人に是非オススメしたい。
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『インデペンデンス・デイ』感想・紹介・レビュー【真の独立記念日】
インデペンデンス・デイ
1996年に公開されたアメリカ合衆国のSF映画。
監督、脚本、製作総指揮をローランド・エメリッヒが務めた。
出演
- ウィル・スミス
- ビル・プルマン
- ジェフ・ゴールドブラム
- メアリー・マクドネル
- ジャド・ハーシュ
- ロバート・ロッジア
- ランディ・クエイド
これぞ”アメリカ映画”と言わんばかりのボリュームを感じられる作品。
いわゆる”お約束”を凝縮したかのような2時間33分を味わえる。
人によってはずーっと味が濃い料理を出されるのも飽きるかもしれないが、酒の肴にはピッタリじゃないだろうか。
これでもかというくらいの分かりやすいストーリーに、視聴者が期待していることを一切裏切らない展開、人間味タップリで魅力あふれる登場人物。
そして人によって様々な意見があるとは思うが、魅力あふれる登場人物の中でもこの作品に出てくるアメリカ合衆国大統領と酔っ払いは全洋画の中でも屈指の格好良さを誇る。
まさにハリウッド映画、まさにアメリカ映画らしいスケールの大きさに凄まじい迫力。
ストーリーも終始王道ど真ん中で突き進むので、万人が理解できて万人が感情移入出来る。
決してツッコミどころがないわけではない、しかしながらそのツッコミどころさえも楽しいと思えるのだからこの作品は凄い。
”面白ければそれでいい”を地で行っている。
ストーリー展開のテンポの良さもあってか、2時間33分という長尺で尚且つ何度も観ている作品で観ている最中も、次こうなるんだよなぁとかこの人こうなんだよなぁと、分かってるのにも関わらず飽きることなく見続けられる。
序盤のあらすじ
アメリカ独立記念日を控えた7月2日、直径24kmにも及ぶ円盤型の宇宙船(シティ・デストロイヤー)がニューヨーク、ロサンゼルス、ワシントンD.C.などアメリカや世界中の大都市上空に出現した。
混乱に陥る中、ホイットモア大統領率いるアメリカ政府は国民の不安を鎮めるべく、宇宙人との交信を試みるが、ケーブルテレビの技師デイヴィッドは衛星通信にノイズとして隠されていた信号が宇宙人同士の攻撃指令であることを察知する。
デイヴィッドは離婚した妻でホワイトハウス首席報道官コニーの助力を得てホイットモアと会見し、それを伝えるも、アメリカ政府が彼らが侵略者であることを理解した時には既に遅く、宇宙船の主砲により主要な大都市は爆発し、破壊され、廃墟と化してしまう。
引用:Wikipedia
あからさまで分かりやすいお約束展開もここまで突き抜ければ純粋に面白い。
ただ人によっては、余りにもアメリカ万歳な映画なので向かないかもしれないが、そういうのが気にならない人やむしろ大歓迎な人にはもう堪らないだろう。
大統領が自らあんなことするかって?
あんなに首尾よくエイリアンたちが作り上げたコンピューターに影響を与えるようなウイルスを作れるかって?
そんな細かいことを気にする人は他の映画観よう、向いてない。
小ネタ
アメリカでの公開は7月3日の予定だったが、公開前から人気が非常に高かったのもあって、ほとんどの映画館で作品の物語が始まるのと同じ日付である7月2日の深夜から上映を開始した。
CGが導入されている作品ではあったが、随所で模型を使用して撮影が行われた。
これは撮影当時、CGよりも模型の方が炎などの表現がリアルに出来ると判断されたため。
作中で大統領一行がワシントンD.Cから避難する際に乗り込んだボーイング747は『エアフォース・ワン』(1997)に使われた機体。
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『ペリカン文書』感想・紹介・レビュー【良く出来た仮説と真実】
ペリカン文書
1993年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス映画。
監督、脚本をアラン・J・パクラが務め、ジョン・グリシャムの同名小説を原作としている。
出演
- ジュリア・ロバーツ
- デンゼル・ワシントン
- サム・シェパード
- ジョン・ハード
- ジョン・リスゴー
- トニー・ゴールドウィン
- ロバート・カルプ
ジュリア・ロバーツが若い法学生、デンゼル・ワシントンがワシントン・ヘラルド紙の敏腕記者を演じた今作。
個人的にジョン・グリシャム原作の映画作品は好きなものが多い。
同じ時期に公開された『依頼人』『ザ・ファーム』も物凄く好きだが、今作は特に好み。
小説自体の内容が現実的にありうる話というのもあって、実際の事件を体験しているような感覚になれるのも面白さの1つ。
既得権益を守るための暗躍、策略や印象操作に情報操作。
それだけでなく巨大企業とのズブズブな癒着関係、献金問題など現在でも世界各国で時々問題になる。
約30年前の映画なのもあって流石にテクノロジー的には古さを感じるが、そういった現実に起こりうる、起こっている事を上手く組み込みつつしっかりと映画としての面白さ、落としどころが用意されている。
序盤のあらすじ
ワシントンD.C.で最高裁判事のローゼンバーグとジェンセンが殺害される事件が発生する。
ローゼンバーグの弟子で、彼の下で事務官をしていたトーマス・キャラハンは、ニューオーリンズのテューレーン大学のロー・スクールで教授をしているが、ニュースを聞いてショックを受ける。
キャラハンの生徒で恋人のダービー・ショウは、最高裁判事を殺害するための動機についてリサーチし、ある仮説に辿り着くが、あまりにも荒唐無稽な内容だったため、授業用のレポートとしてキャラハンに提出する。
キャラハンは、ローゼンバーグの葬儀に出席するためにワシントンへ行き、そこで同窓のFBI法律顧問ヴァーヒークと再会する。
キャラハンは「よく出来た仮説」としてヴァーヒークにレポートを手渡し、レポートは彼の手からFBI長官ヴォイルズに渡される。
引用:Wikipedia
今作の様な、いわゆる一般人が政府を始めとする権力者の大きな力に巻き込まれていくパターンの作りの場合、一歩間違えると陳腐な展開になりがち。
それをジョン・グリシャムの重厚な見応えのある原作小説と、それをキッチリと2時間21分という時間の中で仕上げた製作陣の手腕によって観る者を引き込むサスペンスとなっている。
そしてこの作品を更に素晴らしい物へと昇華させているのが、デンゼル・ワシントンとジュリア・ロバーツだ。
観る人によっては、状況な状況なのに若干緊迫感に欠けるのでは?と思われてしまうかもしれないジュリア・ロバーツの演技だが、現実に自分が陰謀なんかに巻き込まれてるのかどうかにわかには信じられない人の行動や言動と考えると腑に落ちるのではないだろうか。
デンゼル・ワシントンは相変わらず安定の好演。
出すべきところではしっかりと存在感を出し、引くべきところは引くことで画にメリハリを付けている。
目線や声のトーンなどの細かいディテールまでこだわって演技をしているのが伝わってくるのは流石だなと感じた。
勿論、どうしても映画という短い時間の中で成立させなくてはならないのもあって都合がいい展開もないわけではないが、前半の謎が謎のままどんどん進んでいき「これどうなるんだ?どう進むんだ?」と興味を引かせ、謎の答えが分かった瞬間から前半のモヤモヤを一気に取り払うかのように物語の奥まで引き込まれる作りは映画として素晴らしい。
そこそこ長尺の映画ではあるが、間延びを感じることなく冒頭からラストまで目を離せない展開の連続に観始めてしまえば時間など気にする暇なく観終わってしまうだろう。
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『コン・エアー』感想・紹介・レビュー【愛情と友情の形】
コン・エアー
1997年に公開されたアメリカ合衆国のアクション映画。
監督をサイモン・ウェスト、脚本をスコット・ローゼンバーグが務めた。
出演
- ニコラス・ケイジ
- ジョン・キューザック
- ジョン・マルコヴィッチ
- ヴィング・レイムス
- スティーヴ・ブシェミ
- ミケルティ・ウィリアムソン
- レイチェル・ティコティン
タイトルになっている『コン・エアー』はアメリカ連邦保安局の空輸隊の名称で、出廷や医療緊急時の対応、囚人護送などを行っている。
今作は、その凶悪犯を護送する様子をリアルに再現し映像化している。
家族愛が故に犯してしまった元軍人が、家族の元に戻るため、囚人仲間の命を救うため、凶悪犯罪者の逃亡を阻止するために頭脳を使い、元軍人という経歴を活かした格闘で犯罪者集団との戦いに挑むハイジャックアクションの今作。
導入部でしっかりと家族の様子や、登場人物の人間性を描いているかと思えばそこからはノンストップアクションムービー。
イカつくイカれた魅力あふれる凶悪犯罪者たちも含め、配役が本当にピッタリ。
正義感の塊のような主人公は、阻止したい気持ちも勿論あるのだが無事に家族の元へと帰りたいという気持ちの中で葛藤している様子が、ニコラス・ケイジの演技力で説明などなくとも伝わってくる。
ハイジャック犯役の面々も、ただただ暴れたり突拍子もないことをするわけでもなくしっかりと計画があり、主犯の囚人は部下の囚人たちに対して自分の考えを簡易的なジオラマのようなモノで説明したりと、様々な事態に対応する冷静さも持ち合わせていて観ている側も分かりやすい。
アクションムービーとはいえ、そういったバックボーンだったり人となりが見えるとまた違った面白さがあるということを感じさせてくれる作品。
序盤のあらすじ
軍を除隊したキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)は、酒場で妻にからむ酔っぱらいともめ、さらに追ってきた相手を殺害してしまう。
第一級殺人罪で刑務所に服役するが、模範囚として仮釈放されることになり、囚人専用の輸送機「コン・エアー」(C-123K)に搭乗する。
が、そこにはサイラス・グリサム(ジョン・マルコヴィッチ)を始めとする凶悪犯たちが顔を連ねていた。
そして離陸後、サイラスの計画によって飛行機がハイジャックされ、正義感の強いポーは何とか事態を打解しようとする。
引用:Wikipedia
物語の盛り上がりと、主人公の感情のゲージがリンクしていて序盤から中盤にかけては、必至に耐えに耐えるしかない苦悶が見て取れる。
そしてその鬱憤を晴らすかのように、一気に爆発させたときには物語の盛り上がりはピークに達してその勢いのままラストへ向かう。
序盤中盤に主人公が耐えているだけだと盛り上がりに欠けるのでは?と思う人も居るかもしれないが、ハイジャック犯たちがそこを補って余りある盛り上がりを演出してくれるのでそこは全く心配ない。
やっぱり、ニコラス・ケイジはどういう演技させても上手い。
作品を観終わっても尚、様々なシーンで見せる家族を思う気持ちの表現の仕方が余韻として残る。
相手役も含め、作風と俳優陣の演技がピッタリ合った様々な魅力があるアクション映画の快作。
小ネタ
CGはほとんど使用しておらず、コン・エアーなどの描写は全て実際の飛行機を使って撮影している。
終盤のとあるシーンでは廃業し解体予定だったラスベガスのホテルにて撮影された。
15台ものカメラを用意し、買い取った廃棄予定の旅客機をホテルに突っ込ませ、それを一発撮影した。
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