『逃亡者』感想・紹介・レビュー【2人の男の執念と真実の追求】
逃亡者
1993年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンスアクション映画。
1960年代のテレビドラマシリーズ『逃亡者』をベースとしたリメイク作品で、監督をアンドリュー・デイヴィス、脚本をデヴィッド・トゥーヒー、ジェブ・スチュアートが務めた。
出演
- ハリソン・フォード
- トミー・リー・ジョーンズ
- ジェローン・クラッベ
- セーラ・ウォード
- ジュリアン・ムーア
- ジョー・パントリアーノ
今作はテレビドラマのリメイク作品で、物語の舞台を映画公開当時の現代へと変更し設定やストーリーはある程度変更されているものの、冤罪で追われながらも妻を殺害した真犯人である「片腕の男」を追う医師と、彼を逃亡犯として追う連邦保安官補という根本部分はそのまま使用している。
この作品の一連の流れである「無実の主人公が警察などから逃亡しつつも、真犯人を探し出す」というようなパターンは非常に人気があり、今作以外にも色々な『逃亡者』が製作されタイトルが異なるものの内容的には影響を受けている作品も多い。
キンブルという追われる男
ジェラードという追う男。
その両方が執念深く必死になって事件の真実を追求していく過程を、逃走劇を交えながら丁寧に描いていて、2時間10分という時間の中で常に緊迫感や緊張感を味わいながら次の展開が気になるような作りになっている。
そしてただの”逃亡者”と”追跡者”という関係だけではなく、何処にあるか分からない真実を追求していく中でお互い単なる敵対者というだけではないある一部分で認め合うような不思議な関係性を見る事もでき、逃走劇だけではない魅力が今作にはある。
序盤のあらすじ
シカゴ記念病院の有能な血管外科医リチャード・キンブルがある日の夜に帰宅すると、妻のヘレンが家の中で何者かに襲われて死に瀕していた。
キンブルは犯人と思しき「片腕が義手の男」を追い払うが、妻は既に致命傷を負っており手遅れであった。キンブルは自分が取り逃がした義手の男について捜査するよう警察に懇願するが、警察は死の間際のヘレンから受け取った通報の内容を誤解し、キンブル本人が妻殺しの濡れ衣を着せられ逮捕されてしまう。
キンブルは裁判で無実を証明することができず、私刑判決を受けて刑務所へと移送されることになるが、その最中に他の囚人たちが逃亡を企てたハプニングにより、護送車が列車と衝突し爆発炎上するという大事故が発生する。
引用:Wikipedia
CGやSFXを使用して派手な演出があるような映画ではないが、2人の心理描写も静かに丁寧に描いていて、実際に自分が追われていて逃げている立場もしくは、本当に自分の追っている男が犯人なのか疑問に思いつつも追跡している立場になっているかのような感覚に陥る。
冤罪ではあるものの殺人犯という社会の中で敵対的存在になっているにも関わらず、医師としての尊厳を持ち続け治療に手を貸すキンブル。
命令通り動く機械のような冷徹さを持つ捜査官ではなく、キンブルとはまた違う人間らしさをもったジェラード。
このハリソン・フォードとトミー・リー・ジョーンズが演じる2人の男の執念と真実の行動に誰しもが胸を打たれることになるだろう。
小ネタ
脚本の初期ではキンブルがジェラードの妻を医療ミスで死なせてしまい、ジェラードが義手の男を雇って復讐するというストーリーだった。
ジェラードが部下のニューマンに、「ポニーテールでもなめられるなよ」という場面があるのだが、当時この髪型はマイナー且つ男性がすると軟弱なイメージを持たれていた。
脚本を読んだハリソン・フォードは当初、キンブルではなくジェラード役を熱望していた。
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