『ペリカン文書』感想・紹介・レビュー【良く出来た仮説と真実】
ペリカン文書
1993年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス映画。
監督、脚本をアラン・J・パクラが務め、ジョン・グリシャムの同名小説を原作としている。
出演
- ジュリア・ロバーツ
- デンゼル・ワシントン
- サム・シェパード
- ジョン・ハード
- ジョン・リスゴー
- トニー・ゴールドウィン
- ロバート・カルプ
ジュリア・ロバーツが若い法学生、デンゼル・ワシントンがワシントン・ヘラルド紙の敏腕記者を演じた今作。
個人的にジョン・グリシャム原作の映画作品は好きなものが多い。
同じ時期に公開された『依頼人』『ザ・ファーム』も物凄く好きだが、今作は特に好み。
小説自体の内容が現実的にありうる話というのもあって、実際の事件を体験しているような感覚になれるのも面白さの1つ。
既得権益を守るための暗躍、策略や印象操作に情報操作。
それだけでなく巨大企業とのズブズブな癒着関係、献金問題など現在でも世界各国で時々問題になる。
約30年前の映画なのもあって流石にテクノロジー的には古さを感じるが、そういった現実に起こりうる、起こっている事を上手く組み込みつつしっかりと映画としての面白さ、落としどころが用意されている。
序盤のあらすじ
ワシントンD.C.で最高裁判事のローゼンバーグとジェンセンが殺害される事件が発生する。
ローゼンバーグの弟子で、彼の下で事務官をしていたトーマス・キャラハンは、ニューオーリンズのテューレーン大学のロー・スクールで教授をしているが、ニュースを聞いてショックを受ける。
キャラハンの生徒で恋人のダービー・ショウは、最高裁判事を殺害するための動機についてリサーチし、ある仮説に辿り着くが、あまりにも荒唐無稽な内容だったため、授業用のレポートとしてキャラハンに提出する。
キャラハンは、ローゼンバーグの葬儀に出席するためにワシントンへ行き、そこで同窓のFBI法律顧問ヴァーヒークと再会する。
キャラハンは「よく出来た仮説」としてヴァーヒークにレポートを手渡し、レポートは彼の手からFBI長官ヴォイルズに渡される。
引用:Wikipedia
今作の様な、いわゆる一般人が政府を始めとする権力者の大きな力に巻き込まれていくパターンの作りの場合、一歩間違えると陳腐な展開になりがち。
それをジョン・グリシャムの重厚な見応えのある原作小説と、それをキッチリと2時間21分という時間の中で仕上げた製作陣の手腕によって観る者を引き込むサスペンスとなっている。
そしてこの作品を更に素晴らしい物へと昇華させているのが、デンゼル・ワシントンとジュリア・ロバーツだ。
観る人によっては、状況な状況なのに若干緊迫感に欠けるのでは?と思われてしまうかもしれないジュリア・ロバーツの演技だが、現実に自分が陰謀なんかに巻き込まれてるのかどうかにわかには信じられない人の行動や言動と考えると腑に落ちるのではないだろうか。
デンゼル・ワシントンは相変わらず安定の好演。
出すべきところではしっかりと存在感を出し、引くべきところは引くことで画にメリハリを付けている。
目線や声のトーンなどの細かいディテールまでこだわって演技をしているのが伝わってくるのは流石だなと感じた。
勿論、どうしても映画という短い時間の中で成立させなくてはならないのもあって都合がいい展開もないわけではないが、前半の謎が謎のままどんどん進んでいき「これどうなるんだ?どう進むんだ?」と興味を引かせ、謎の答えが分かった瞬間から前半のモヤモヤを一気に取り払うかのように物語の奥まで引き込まれる作りは映画として素晴らしい。
そこそこ長尺の映画ではあるが、間延びを感じることなく冒頭からラストまで目を離せない展開の連続に観始めてしまえば時間など気にする暇なく観終わってしまうだろう。
↓↓Prime Video無料体験はこちら↓↓