『EVA<エヴァ>』感想・紹介・レビュー【創造者と創造物】
EVA<エヴァ>
2011年に公開されたスペインのSF映画。
監督をキケ・マイーリュ、脚本をセルジ・ベルベル、クリスティーナ・クレメンテ、マルティ・ロカ、アインツァ・セラが務めた。
出演
- ダニエル・ブリュール
- マルタ・エトゥラ
- アルベルト・アンマン
- クラウディア・ベガ
- アンヌ・カノヴァス
- ルイス・オマール
序盤のあらすじ
2041年、天才ロボット科学者であるアレックスは、故郷である雪深いサンタ・イレーネに10年ぶりに戻って来る。
10年前に中断したままになっていた子供型ロボットの研究開発を再開するために、同地にある大学のロボット科学者フリアに呼び戻されたからである。
しかし、故郷にはかつての恋人で今は兄ダヴィッドの妻となったラナがおり、ラナとアレックスの間には今でもわだかまりが残っていた。
アレックスは大学での仕事を嫌い、実家で研究をすることになる。
フリアはロボットのモデルとなる少年の候補を何人か映像で見せるが、アレックスはいずれの少年も気に入らない。
引用:Wikipedia
今作は、2041年という近い未来を舞台として、ロボットAI工学の専門家の主人公アレックスはロボット開発を途中で投げ出して失踪し、10年後大学に呼び戻され大学の仲間たちによってほぼ完成しようとしていたロボットの知能を姪である少女エヴァをモデルにした子供型のロボットを開発しようとした結果、知ることになってしまう過去の秘密を描いたSF作品。
ストーリー的にはそこまで秀でた物を感じる訳でも、斬新さがあるわけでもないし、ハリウッド大作のようなどこまでが現実でどこまでがCGというようなロボットが出てくるわけでもない。
今作はそういったバリバリのSF大作というわけではなく、舞台となっている豊かな自然に囲まれたスペインの学園都市を始めとする映像美と、タイトルにもなっている少女エヴァの12歳特有の愛らしさ、12歳とは思えない知的な一面を観る映画と言えるかもしれない。
あくまでも個人的にだが、エヴァは『LEON』のマチルダを彷彿とさせる。
作品の雰囲気やキャラ設定などはまるで違うのだが、年齢にそぐわない一面を見せたかと思いきや、年齢通りの無邪気さを持ち合わせている部分。
そして、目線やちょっとした仕草だけでしっかりとその場その時の感情を視聴者に訴えかけてくるような演技は両者とも素晴らしい。
『LEON』の記事はこちら
偶然にも『LEON』が映画デビューとなったナタリー・ポートマンと同じく、今作が映画デビューのクラウディア・ベガ。
ナタリー・ポートマンは上記の『LEON』の記事内でも触れているので省くが、クラウディア・ベガもとてもじゃないが、初出演の映画とは思えない存在感と演技力。
そしてこれも演出なのかは分からないが、周囲の雪景色やウールの赤いコートがレフ版のような効果を持ち、女性の顔を明るく引き立たせているのもあってより一層魅力的なキャラクターとして仕上がっている。
キャラクターの魅力は勿論だが、映像から感じ取ることの出来るクレバーな雰囲気も自分は好きだった。
寒さをこれでもかと痛感させられる銀世界、登場人物の移動手段として出てくる古い車たち、ヨーロッパ映画特有の気怠い空気感などが物凄く心地よい。
人によっては地味目、暗いと捉えられてしまうとは思うのだが、そういった部分も今作の良さだろう。
序盤はそれなりに楽しげな雰囲気を醸し出している状態で進んだかと思いきや、中盤からエンディングに向けてやや暗め、悲劇的な方向へと向かっていく展開は向き不向きあるのは確かかもしれない。
しかし、今作は創造物の在り方は創造者の主観で決められるべきなのか、というような強くも儚いメッセージがしっかりと込められていて、近い未来実際に起こるかもしれないと思わせてくれる問題の根っこをさり気なく掘り起こし提示した貴重な作品としてオススメしたい。
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