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『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』感想・紹介・レビュー【隔離された翻訳家】

9人の翻訳家 囚われたベストセラー

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(字幕版)

 

2019年に公開されたフランス・ベルギーのサスペンススリラー映画。
監督・脚本をレジス・ロワンサル、共同脚本をダニエル・プレスリー、ロマン・コンパンが務めた。

出演
  • ランベール・ウィルソン
  • オルガ・キュリレンコ
  • アレックス・ロウザー
  • エドゥアルド・ノリエガ
  • シセ・バベット・クヌッセン
  • リッカルド・スカマルチョ
  • パトリック・ボーショー

 

序盤のあらすじ

フランスの人里離れた村にある洋館に、9カ国から翻訳家が集められた。全世界待望のミステリー小説『デダリュス』の完結編の各国語への翻訳のためだ。

しかし9人は、洋館の地下に隠された要塞のような密室に隔離されてしまう。

海賊行為と違法流出を恐れた出版元が著者の同意のもと、彼らを隔離して極秘に翻訳を行わせることにしたのだ。

9人は外出はおろか、電話やSNSなどの通信も禁止され、毎日20ページずつ渡される原稿をひたすら翻訳していく。

そんなある夜、出版社社長の元に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば、全ページを流出させる」という脅迫メールが届く。

引用:Wikipedia

 

本作は『ダ・ヴィンチ・コード』などのダン・ブラウン原作小説『ロバート・ラングドン』の第4作目である『インフェルノ』出版の際に、海賊行為と違法流出を危惧した出版元が著者のブラウンの同意の上、各国の翻訳家を地下室に隔離して翻訳を行ったという事実をベースに描かれたスリラー映画となっている。

 

ストーリー的には伏線やその回収方法に至るまで、矛盾なく行われていてそういった意味での粗はそこまで目立たない。
メインとなる登場人物も10人以上居るのにも関わらず、変な設定でリアリティを損なわせることなく上手くキャラクターを立たせることにも成功していて、あまり洋画を観慣れていない人にありがちな「顔の区別がつかない」ということが少ないと思う。

 

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冒頭から物語の3分の1程度はそこまで大きな展開もなく淡々と進むのだが、徐々に時間軸がずれていくのもあって、時系列的にどの時点の話なのかがパッと見では分かりにくい。
中盤以降に重要人物がある程度絞られていき、終盤には結末に向かう為の導線がしっかりと作られているのでとある伏線に気付いた人はオチの予想が付いてしまうかもしれないが、無駄に難解にするようなこともなく分かりやすく楽しめる。

 

一度物語の世界観に入り込んでしまえば、どこまでが現実でどこまでが虚妄、どこまでが虚構でどこまでが真実かがスピーディーに切り替わっていくので最後まで目が離せない。
大胆かつ繊細、緻密な犯行にハラハラドキドキするだろう。

 

構成の仕方や登場人物のキャラなどは上記にある通り上手く描けているのだが、その分目立ってしまっている欠点がいくつかある。
ネタバレになるので詳細は避けるが、根本的な動機が弱すぎる点。
ラストに向けた展開の都合のよさが仕方がないにしても若干、無理が過ぎるような気がする点。
結末というかラストのカタルシスが薄くミステリーやサスペンスでの「こう来るのかやられた・・・」という感覚に浸りづらい点。

 

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何度か視聴し色々考えながら観たりもしたが、この3点に関してはどうしても気になってしまった。
どんでん返し的展開自体は悪くないのだが、この3点のせいでどうも釈然としない。
もうちょっとこの辺りが解消されれば気持ちよく観れるんだろうなぁという感じ。

 

フランス・ベルギーの共同制作だからというのもあるだろうが、フランス映画にしてはある程度魅せている感じはある。
しかしオルガ・キュリレンコなどキャストは豪華なのだが、変に捻っているのもあって魅せ切れていないのが本当にもったいない。


面白さの一定ラインは越えては来るが、それ以上の何かがあるかと言われると難しい。
題材や登場人物の個性の出し方は面白いだけに惜しいなぁと思わざるを得ない作品だった。

 

 

 

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