洋画な日常

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『グリーンブック』感想・紹介・レビュー【人間・人種・友情・愛情とは何か】

グリーンブック

グリーンブック(字幕版)

 

2018年に公開されたアメリカ合衆国の伝記映画
監督・脚本をピーター・ファレリーが務めた。

出演
  • ヴィゴ・モーテンセン
  • マハーシャラ・アリ
  • リンダ・カーデリーニ
  • ディメター・マリノフ
  • マイク・ハットン

 

ジャマイカ系アメリカ人でクラシック、ジャズピアニストのドクター・ドナルド・シャーリーと、その運転手兼ボディーガードのイタリア系アメリカ人のトニー・ヴァレロンガが1962年に実際に行ったアメリカ合衆国最南部を回るコンサートツアーからインスパイアされて製作された作品。

 

基本的にこの作品は、これからも何回か観るであろう良作だと思っているが、一定数の人からは作品内での歴史的描写の不正確さや、主人公トニー・リップの設定が典型的な「白人の救世主」「差別から黒人を救う救済者」と、あまりにも誇張されたキャラクターだったことで批判的な意見も出ていたりする。

 

当事者からしたらある程度感情的になるのも分からなくは無いのだが、あくまでもフィクションの映像作品なのだから差異や誇張は致し方ない部分があるとは思う。

 

なので、そういった点が気になる人はもしかしたら合わないかもしれないが、「人種差別問題」をベースに作られてはいるものの、物凄くシンプルな内容に分かりやすい設定と展開で大人が純粋に心温まる映画として十分過ぎる出来。

 

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序盤のあらすじ

舞台は1962年のアメリカ。

ジム・クロウ法の真っただ中、トニー・”リップ”・ヴァレロンガはニューヨーク市のナイトクラブで用心棒をしていた。

ある日、彼が働いている「コパカバーナ」というナイトクラブが改装工事のため閉鎖されてしまう。

新しい仕事を探している矢先に、アメリカ中西部、ディープサウスを回る8週間のコンサートツアーの運転手を探しているアフリカ系アメリカ人のクラシック系ピアニスト、ドン・シャーリーとの面接を紹介される。

ドンは、トニーの肉体的な強さや、物怖じしない性格を見込んで彼を雇うことにした。

トニーは妻と子供2人の家庭を持っており、親戚も多いため、クリスマス・イブまでに自宅に帰るという約束のもと、ツアーに出発する。

ドンのレコードレーベルの担当者は、アフリカ系アメリカ人の旅行者がモーテル、レストラン、給油所を見つけるためのガイドである「グリーンブック」1冊をトニーに提供する。

引用:Wikipedia

 

 

この作品、コメディのカテゴリーに割り振られていることが多いのだが、若干違和感を感じる。
確かにドンとトニーのやり取りは軽快でコミカルではあるが、アメリカ最南部というのはいくらエリート街道を進んできた天才ピアニストだとしても黒人というだけで差別の対象になってしまう。

 

そしてドンはあえて、この地域を選んでツアーをしている。
レビューサイトなどで「残酷な人種差別のシーンはない」というような言葉を割と目にすることがあるのだが、そもそも人種差別そのものが残酷だろう。

 

誰でも分かるような暴力や暴言などよりも、人としての尊厳や心や魂を直接攻撃する行為が何よりも残酷だと自分は思う。

 

このどうしても重くなりがちな話を、2人の信頼関係とコミカルなやり取りのおかげで観易い映像作品として成立しているのであって、コメディでは断じてない。

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一部の人からは批判的な意見が多い、と冒頭でも触れたが人種差別というもの自体への知識があまりない国や地域(意識していないだけで差別が無いわけではないが)に、こういった事があった事実や今でも根深く残ってしまう要因などのほんの少しでも知るきっかけとしてこういう映画は必要だ。

 

作品の要所要所で、人間・人種・友情・愛情とは何かという、その全ての本質を考えさせられる傑作。

 

 

 

 

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