『黒い司法0%からの奇跡』感想・紹介・レビュー【大国が抱える闇】
黒い司法0%からの奇跡
2019年のアメリカ合衆国の社会派ドラマ映画。
監督・脚本をデスティン・ダニエル・クレットンが務めた。
ブライアン・スティーブンソンが2014年に発表したノンフィクション小説『黒い司法 死刑大国アメリカの冤罪』が原作。
出演
- マイケル・B・ジョーダン
- ジェイミー・フォックス
- ブリー・ラーソン
- ロブ・モーガン
- ティム・ブレイク・ネルソン
2020年9月現在。
日本ではそこまで大きな運動が起きているわけではないが、ニュース等で聞いたことがあるであろう「Black Lives Matter」運動。
アメリカでは、コロナと同等もしくはそれ以上にニュース記事を賑わせることも多い。
「Black Lives Matter」とは
ブラック・ライヴズ・マター (英: Black Lives Matter 通称: 「BLM」) は、アフリカ系アメリカ人に対する警察の残虐行為に抗議して、非暴力的な市民的不服従を唱えるアメリカ合衆国の組織的な運動である。
Black Lives Matterと呼ばれる組織は、米国とカナダに約16の支部を持つ分散型ネットワークとして存在しているが、より大きなBlack Lives Matter運動は、Dream DefendersやAssata's Daughtersなど、志を同じくする様々な別個の組織から構成されている。
より広範な運動とその関連組織は、一般的に黒人に対する警察の暴力に反対し、黒人の解放に関連すると考えられるその他の様々な政策変更を提唱している。
引用:Wikipedia
こういった映画を観るには絶好のタイミングと言える。
根深い問題として人々の中に蔓延る「人種差別問題」という大国の闇の部分を事実に基づいた原作を映像化させた作品。
原作が有りそれを映画化と聞くと、過去の話を映画にしていると思いがちかもしれないが、そんなことはない。
作中に出てくる1人に関して言えば、数年前にやっと無罪判決が言い渡された。
それだけ今現在になっても「人種差別」というのは(日本で生活していると実感しにくいが)いつまで経っても過去の物にならない根深すぎる闇が潜んでいる。
『黒い司法 0%からの奇跡』は製作陣の緻密で確かな演出と俳優陣の素晴らしい演技によって、現実に存在する不条理・不公正・不公平・不平等を見事に映画として成立させている。
序盤のあらすじ
ブライアン・スティーブンソン(英語版)はハーバード大学のロースクールを卒業し、弁護士資格を取得した。
好待遇のオファーが複数あったにも拘わらず、ブライアンは使命感からアラバマ州で人権運動に携わることにした。
同州で受刑者の人権擁護活動に励むエバ・アンスリーの協力もあって、彼は小さな事務所を設立することができた。
1988年、ブライアンの元にとんでもないニュースが飛び込んできた。
ウォルター・マクミリアン(英語版)という黒人男性が白人女性を殺した容疑で死刑判決を受けたのだが、彼が犯人であることを示す証拠は一つとして存在しなかった。
それにも拘わらず、検察側は誘導尋問などを駆使してウォルターを犯人に仕立て上げたのである。
引用:Wikipedia
この映画を観ると思う事がある。
「冤罪」という意味では日本でもないわけではないし、過去には日本の警察が行う取り調べでは脅迫と表現すべき誘導尋問、証言誘導が行われていた。
決め手となる証拠がない場合、事件解決まで長引く上に世間からは冷ややかな目で見られる。
そうなると、見た目やら雰囲気、態度という証拠にならない理由を付けて”犯人を作り上げようとする”。
勿論これも、理不尽ではあるしあってはいけないことだろう。
しかしこれを「人種」で判断してしまうことの幼稚さといったらない。
判断するのはあくまで「犯罪」を犯したかどうかであって「人種」では断じてあり得ない。
黒人だろうが、白人だろうが、黄人だろうが、先住民だろうが犯罪を犯せばそれ相応の罪というものがあるという簡単な話のはず。(人種の順番について意味はない)
そういう意味も含めてサブタイトルの『0%からの奇跡』ってのは首をかしげてしまう。
気になるのはそれくらいで現実に起こりうる問題であるということ、2020年になった今でも続く事実であるということ、そしてそれをほんの一部かもしれないが知るきっかけとして見応えも有り、真正面から心に響く素晴らしい傑作。
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