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『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』感想・紹介・レビュー【生きるということ】

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス(字幕版)

 

2016年に公開されたアイルランドとカナダの伝記映画。
監督をエイスリング・ウォルシュ、脚本をシェリー・ホワイトが務めた。

出演
  • サリー・ホーキンス
  • イーサン・ホーク
  • カリ・マチト
  • ガブリエル・ローズ
  • ザカリー・ベネット
  • ビリー・マクレラン

 

序盤のあらすじ

カナダの小さな港町で叔母と暮らすモードは、絵を描くことと自由を愛していた。

ある日モードは、魚の行商を営むエベレットが家政婦募集中と知り、自立のため、住み込みの家政婦になろうと決意する。

幼い頃から重いリウマチを患い厄介者扱いされてきたモードと、孤児院育ちで学もなく、生きるのに精一杯のエベレット。

はみ出し者同士の同居生活はトラブル続きだったが、徐々に2人は心を通わせ、やがて結婚。 

一方、モードの絵を一目見て才能を見抜いたエベレットの顧客サンドラは、彼女に絵の創作を依頼。

モードは期待に応えようと、夢中で筆を動かし始める。

そんな彼女を不器用に応援するエベレット。

いつしかモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領からも依頼が来て……。

引用:©2016 Small Shack Productions Inc./ Painted House Films Inc./ Parallel Films (Maudie) Ltd.

 

今作は、カナダのノバスコシア州ヤーマス群出身のフォークアートの画家であり、正式な美術教育を受けたことがなかったにも関わらず、カナダで愛された画家モード・ルイスの生涯をカナダの美しい風景と彼女の美しい作品を盛り込みながら描いた作品。

 

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モード・ルイス(1903.3.7-1970.7.30)とは

カナダのフォークアートの画家。
田舎の風景、自然と共存する動物たち、草花などをモチーフにした明るく暖かい色彩とシンプルなタッチで、柔らかく幸福感のある絵を描いた。
人生のほとんどが貧しい生活で、生涯を通してカナダ・ノバスコシア州のヤーマス群とディグビー群のみで生活をしていた。

 

モード・ルイスという画家は絵画を含む、美術関連の物にそこまで興味のない人たちは知らない人が多いかもしれない。しかし今作はそういった彼女を知らない人でも、彼女の体験した人生や生み出した作品たちを知り、感じることができるので観終わった後に彼女の作品を生で観てみたいと思える事だろう。

 

彼女を知っている人だとしても、今作のストーリーは彼女の生涯が1時間55分という1つの作品の中で忠実に描かれ、作品そのものが彼女の世界とリンクしているかのようにすら感じる事ができるほどに丁寧に作られているので、知っていたとしても知らなかったとしても満足できると思う。

 

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そしてこの作品の舞台のメインとなる彼女の家や境遇は決して「恵まれている」「幸せそう」には見えづらい。
そんな殺風景で何もなく、冬ともなれば大雪で家から一歩出るのにも苦労するような世間から取り残された場所にすら見える場所は、他の人からすれば幸せは勿論のことその生活に彩りなど感じることは難しいだろう。

 

しかし彼女はその生活に自らの「絵」で「色」を生み出していく。
その絵は決して派手でもなく壮大な見た目ではなく、晴れ渡る空のように穢れのない温かい彼女が見ている風景。
多くの人が気付きにくい、気付かないふりをしている状況で彼女だけがその景色を彩っていくその様は「幸せ」というものを改めて考えさせてくれる。


こんなにも心の奥底に沁み込んでくる映像は中々出会えない。
2人で生きることを大切にしようとした2人のささやかな幸せ。
静かで儚くも美しい映像と美しい物語が見事に調和した素晴らしい作品だった。

 

 

 

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