『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』感想・紹介・レビュー【幸せな作品】
ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります
2014年に公開されたアメリカ合衆国のコメディドラマ。
監督をリチャード・ロンクレイン、脚本をチャーリー・ピータースが務めた。
出演
- モーガン・フリーマン
- ダイアン・キートン
- シンシア・ニクソン
- キャリー・プレストン
- クレア・ヴァン・ダー・ブーム
- マイケル・クリストファー
序盤のあらすじ
長年ずっと連れ添ってきたカーヴァー夫妻は、40年住み慣れた5階にある眺めの良い部屋を「エレベーターがない」という理由で売却しようと試みる。
昔は下町だったイースト・ヴィレッジも今ではおしゃれなエリアとなり、二人の部屋にもちょっとした値がつくようになっていた。
内覧会を開催することになるが、その前日、年老いた愛犬が急病を発症、成功確率6割の手術を受けることに。 さらに近所でテロ騒動が勃発。
ふたりの若かりし頃を挿入しながら不動産交渉と共に物語は展開していく。
引用:Wikipedia
今作は、2009年にジル・シメントが発表した小説『眺めのいい部屋売ります』を原作とし、画家の夫アレックスと元教師の妻ルースが40年間暮らしたブルックリンを一望できる最高の眺めの家を売るという単純明快なストーリーを、夫婦の過去回想を織り交ぜながら描いた作品。
物語の展開的には、特に事件性があるわけでもなく山や谷があるわけでもない淡々としたストーリーではあるのだが、夫婦の出会いを含めた2人の若い頃の描写が話の要所要所にサラッと挿入されていて、2人の歩んできた人生がストーリーを通してすんなりと入ってくる。
その上、作品の中に過去回想がある作品の場合はそれ自体が長かったり、無駄なシーンとなってしまっていることが多いのだが、今作は必要最低限に収めつつもしっかりと理解出来る内容になっているのが素晴らしい。
そしてその過去回想のシーンで老夫婦の若い頃を、コーリー・ジャクソンとクレア・ヴァン・ダー・ブームが演じているのだが、この2人がまた良い演技。
見た目とかそういうことではなく、映像から感じ取ることの出来る印象が本当に2人の若い頃のように見えて一種の驚きがあるくらいだった。
映画の上映時間1時間32分の中では短い時間でしかないのだが、重要なシーンでもあるのでこういった細かい部分の描写が丁寧になされているのは評価が高い。
勿論言うまでもなく、老夫婦を演じたモーガン・フリーマンとダイアン・キートンは素晴らしいの一言。
演技をしているとは思えないほどのナチュラルな老夫婦を表現しきっていて、この2人が本当に夫婦なのではと錯覚させられるほど息が合っている。
それに加えお互いがお互いの魅力を引き立たせるかのような演技は流石。
そして邦題が悪くないと思ったのは珍しい。
まぁ、原作をサブタイトルにあてがっただけと言えばそれだけの話なのだが、それが出来ない邦題の多いこと多いこと。
原題は『5 FLIGHTS UP』で訳すと”5階分の階段を上る事”となる。
作品のテーマとなっている夫婦の家である物件の状態を示してはいるのだが、個人的には邦題に採用された原作のタイトルの方が惹かれたし分かりやすい。
話の展開が現実的じゃないという声もたまに見かけはするが、老夫婦が笑うだけでリンクしているかのようにこっちまで幸せな気分になれるストーリーが好きな人にはピッタリなのではないだろうか。
常に身近に存在していると気付きにくい「普通」ということの幸せ。
そして日常に満足出来ることの幸せや様々なことを淡く考えさせてくれる作品だった。
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