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『エジソンズ・ゲーム』感想・紹介・レビュー【直流と交流】

エジソンズ・ゲーム

エジソンズ・ゲーム(字幕版)

 

2017年に公開されたアメリカ合衆国の伝記ドラマ映画。
監督をアルフォンソ・ゴメス=レホン、脚本をマイケル・ミトニックが務めた。

出演
  • ベネディクト・カンバーバッチ
  • マイケル・シャノン
  • ノコラス・ホルト
  • キャサリン・ウォーターストン
  • トム・ホランド
  • サイモン・マニョンダ

 

序盤のあらすじ

19世紀、アメリカは電気の誕生による新時代を迎えようとしていた。
白熱電球の事業化を成功させたトーマス・エジソンは天才発明家と崇められ、大統領からの仕事も平気で断る傲慢な男だった。

裕福な実業家ジョージ・ウェスティングハウスは、大量の発電機が必要なエジソンの“直流”より、遠くまで電気を送れ て安価な“交流”の方が優れていると考えていた。
若手発明家のテスラも、効率的な“交流”の活用を提案するが、エジソンに一蹴されてしまう。

ウェスティング ハウスは“交流”式送電の実演会を成功させ、話題をさらう。
そのニュースにエジソンは激怒、“交流”は危険で人を殺すと、ネガティブキャンペーンで世論を誘導していく。

こうして世紀の“電流戦争”が幕を開けた。訴訟や駆け引き、裏工作が横行する中、ウェスティングハウスはエジソンと決裂したテスラに近づく。
果たしてこのビジネスバトルを制するのはどちらか?

 

今作は、1880年代のアメリカ合衆国にて電力の供給方法を巡って、直流送電派のトーマス・エジソンと交流送電派のジョージ・ウェスディングハウスが繰り広げた電流戦争の経緯と様子を描いた作品。

 

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現在の使われ方を簡単に説明しておくと

直流送電:長距離送電や系統周波数の異なる電力について電力融通を行う送電で使用されている。
交流送電:水力発電、火力発電、原子力発電などで作られた電気を変電所や送電線路、配電経路を経て一般家庭などに送電するために使用されている。

 

当時は直流と交流のどちらが選ばれるかということで、大きな注目を集めたが今現在生きている人々にとってはどうなったのかというのは周知の事実。
だがそれでも、映画としての完成度が高くこれでもかと魅せてくる。

 

いわゆる”偉人”というのは「変わった人だった」「自己顕示欲が強かった」とかそういう風に表現されることも多い。
しかし偉人たる才能や知能があってこそなのは勿論、現代で言う所の自己プロデュース力が無ければ時代関係なく偉人として名を残すということは中々難しいのだろう。
今作ではその表現方法がえげつないほど鮮明に描かれているのも良い。

 

トーマス・エジソンという1人の天才について色々調べたりしたことがある人は当然かもしれないが、あくまで天才発明家の1人としてしか知らない人にとっては今作のエジソンの描かれ方は一種の驚きがあるだろう。
作中でそういった人物像までもしっかりと描いていて、それが説明的になることは無くなされていて、尚且つそれがあることによって物語が成立している。

 

そしてエジソンと相対することとなる、ジョージ・ウェディングハウス。
彼が新聞社を巧みに利用し広めた造語が出てくるのだが、その意味を知ると同時に彼の卑劣さをも知ることになる。
エジソンの価値観だけでなく、ウェディングハウスの価値観もしっかりと描かれているのもあって「勝者」がどちらだったのかはっきりと決めにくい。

 

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伝記ドラマの中でも結構シリアスな作風、展開になっていて作中から感じるなんとなく重々しい雰囲気によってグッと引き込まれ見応えのある作品に仕上がっている。
実際は関係ないだろうが、製作過程に様々な問題があって登場人物のキャラ設定から何から色々と二転三転したというのも、もしかしたらその重々しさに寄与しているのかもしれない。

 

製作過程のトラブル

プロデューサーが監督に対して次々と修正要求を突きつけた。
トーマス・エジソンの描写が本来一癖も二癖もある男として描かれていたのにもかかわらず、一度は修正の結果ただの性格の良い人になってしまった。
本来関係のない重役たちまで編集作業に介入した。
そんな状況化にも関わらず急遽プレミア上映する決断により、監督は急ピッチな編集作業によって11.3㎏もやせてしまった。
プレミア上映の結果はあまり良くなく、プロデューサーは「自分が間違っていた、あの編集は大胆過ぎた」と今更伝えてきた。

 

上記に書ききれないほど様々なトラブルがまだまだあったのだが、詳細を知りたい人は作品のWikipediaを見ると酷さが分かると思う。


エジソンとウェディングハウス。
そのどちらの側にも視聴者からすれば賛否両論あるとは思うが、両極の価値観をしっかりと描き、人間という生き物の枠の広さ、奥深さ、浅はかさを垣間見ることの出来る良作に仕上がっているので是非1度観る事をオススメする。

 

 

 

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