『ブラックブック』感想・紹介・レビュー【裏切りと真実】
ブラックブック
2006年に公開されたオランダの戦争サスペンス映画。
監督・脚本をポール・バーホーベンが務めた。
出演
- カリス・ファン・ハウテン
- セバスチャン・コッホ
- トム・ホフマン
- ハリナ・ライン
- ヴァルデマー・コブス
- ドルフ・デ・ヴリーズ
- デレク・デ・リント
1944年、第二次世界大戦時ナチスドイツの占領下にあったオランダを舞台とし、何者かの裏切りにより家族を殺されてしまった若く美しいユダヤ人歌手であるラヘルが、名前を変え姿も変えレジスタンスに身を投じてナチス内部の情報を探っていくさまを描いた今作。
今作の特徴として、善悪の彼岸に身を置くポール・バーホーベン監督らしさが如実に出ているせいかナチスドイツを完全な悪人としては描かず、逆の立場のレジスタンスも善人ばかりの集団としては描いていない。
この作品内の時代、第二次世界大戦下を舞台にしたりナチスドイツをテーマにする作品は幾つも存在する。
その全てとは言わないが、結構な数の作品が表面的な部分だけを見てナチスを批判、ドイツを批判、ただ単純に悪として描くことが多い。
そういった作品とは一線を画す作りになっていて、単なる戦争映画ではないのも大きな魅力の1つ。
主人公のエリスを始め、オランダのレジスタンス、ナチスドイツといったそれぞれの人間の弱さや愚かさを上手く表現している。
冒頭からラストシーンまで色々な立場の人間が複雑に交錯していき、非常にスリリングな展開が続くので、引き込まれてしまえば気付くとそのままラストシーンまで見入ってしまう。
序盤のあらすじ
スエズ動乱直前のイスラエルで教師をしているラヘルは、オランダから観光に来た女性に声をかけられる。
その人物は戦争終結間際のドイツで知り合った人物だった。再会をきっかけに戦時中のつらい思い出を振り返る。
ナチス・ドイツによる占領中のオランダで、ユダヤ人であるラヘルは隠れ家でひっそりと暮らしていたが、ある日、隠れ家が爆撃されてしまう。
難を逃れたラヘルは、偶然居合わせた男の家へ身を寄せるが、そこへオランダ警察であるという男が現れ、すぐにドイツ兵がやってくるため逃げるよう警告する。
引用:Wikipedia
”欲望”
”生存本能”
”醜悪さ”
”欲深さ”
”残酷さ”
”気高さ”
”正義”
”使命”
といった戦時下における人間の愚かさや強さを見事に表現していて2時間25分という時間の中に、ギッシリと詰まった映像になっていると感じた。
当時実際にあったであろう、裏切りや買収にハニートラップはおろか何でも有りな展開もふんだんに盛り込まれている。
そのストーリーの中で主人公を演じたカリス・ファン・ハウテンを始めとした俳優陣がその文字の如く体当たりな演技で素晴らしい作品に昇華させている。
男性を手玉に取ることに長けた彼女の無表情な顔と男性に見せる顔のギャップが凄いのだが、その笑顔も話が進むにつれバリエーションが増えていく。
様々な状況下で見せるその表情が、この作品の全てを物語っているかのようにすら感じる。
注意点としては、今作はあくまで実話ではなく事実に着想を得て製作されたものなので、非現実的な描写も多々ある(ハンカチにクロロホルムとか)ので、観る際はオランダが作るハリウッド的なエンターテインメントサスペンス映画だということは頭に入れておいたほうが良い。
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