『手紙は憶えている』感想・紹介・レビュー【復讐と記憶】
手紙は憶えている
2015年に公開されたカナダ、ドイツ共同制作のサスペンス映画。
監督をアトム・エゴヤン、脚本をベンジャミン・オーガストが務めた。
出演
- クリストファー・プラマー
- ブルーノ・ガンツ
- ユルゲン・ポロホノフ
- ハインツ・リーフェン
- ヘンリー・ツェニー
- ディーン・ノリス
- マーティン・ランドー
アウシュヴィッツ収容所の生存者である90歳の主人公が、”とある手紙”をきっかけに復讐の旅に出る様子を描いた今作。
こういったいわゆる”ホロコースト”を題材にした作品の場合は基本的に、殺される又は殺された人々、生存した人々の悲しみ、ナチス・ドイツ党員を追い詰めるといったような主に3つのパターンが多い。
ホロコーストとは
第二次世界大戦中の国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)率いるナチス・ドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った絶滅政策・大量虐殺を指す。
引用:Wikipedia
しかし今作の場合、その当時からあまりにも時間が経ち過ぎていて登場人物たちは90代の高齢者がメイン。
そのため主人公も認知症で、寝てしまうと自分が何をしようとしていたかすら覚えていられないので行動に一貫性がない。
これは視聴者側からすると、この設定のおかげで予想外の行動に出るかもしれないという、緊張感と裏切りを与えてくれることになり、サスペンスとして純粋に楽しむことが出来るようになっている。
序盤のあらすじ
ゼヴは今年90歳で、ニューヨークの介護施設で暮らしている。最近は認知症が進行し、最愛の妻、ルースが死んだことさえ忘れてしまうようになっていた。
ある日、ゼヴは友人のマックスから1通の手紙を託される。
2人はアウシュヴィッツ収容所からの生還者で、ナチスに大切な家族を殺されていた。
その手紙には2人の家族を殺したナチスの兵士に関する情報が記されていた。
その兵士の名はオットー・ヴァリッシュといい、現在は"ルディ・コランダー"という偽名を使って暮らしているという。
コランダーと名乗る人物は4人にまで絞り込まれていた。
体が不自由なマックスに代わりゼヴは復讐を決意、1通の手紙とかすかな記憶だけを頼りに、単身オットー・ヴァリッシュを探しに旅に出る。
引用:Wikipedia
人によるかもしれないが、正直言うと今作はサスペンスではあるものの、ラストの展開がある程度読めてしまう。
ただオチが分かってしまっていたとしても、演出や俳優陣の静かで重みのある話し方から緊張感が常に存在していてハラハラドキドキさせてくれるので、この作品の場合は大した問題ではないのかもしれない。
展開的な話で言えば、「話が出来過ぎていて現実感がない」という感想を述べる人も今作には少なくない。
ある意味その感想はこの作品に限って言えば、誉め言葉にもなる気がする。
詳細は避けるがとある”癖”を持っている人は、自分の中で自分自身に都合の良いようなストーリーを作り上げそれを真実だと信じて行動しているので、周囲もそれが真実であるかのように感じてしまうというようなことがある。
なので、”出来過ぎている”と感じているのはまさにそういう事なのだろう。
物語のキーとなる”手紙”を時折ちらつかせながら、展開していくのだがその全容は中々分からない上に90歳の老人視点。
スピード感という意味では決して褒められるものではないかもしれないが、その独特な設定と独特なテンポによってどんどん引き込まれていく不思議な感覚になる新しいサスペンス作品だった。
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