『MERU/メルー』感想・紹介・レビュー【命、情熱、自然】
MERU/メルー
2015年に公開されたアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画。
監督をジミー・チン、エリザベス・チャイ・ヴァサルヴェリィが夫婦で務めた。
出演
- ジミー・チン
- コンラッド・アンカー
- レナン・オズターク
- ジョン・クラカワー
- アミー・ヒンクリー
序盤のあらすじ
2008年10月、コンラッド・アンカー、ジミー・チン、レナン・オズタークの3人はメルー峰へ挑むため、インドに到着した。
7日間のはずだった登山は、巨大な吹雪に足止めされ、20日間に及び挑戦は失敗に終わった。
敗北感にまみれた3人は、普段の生活へ戻っていく。
一方、心の中のメルーの呼び声が止むこともなかった。
そして2011年9月、コンラッドは2人の親友を説得し、シャークスフィンへの再挑戦を決意。
それは前回以上に過酷なチャレンジとなった......。
引用:(C)2015 Meru Films LLC All Rights Reserved.
今作は、インドのヒマラヤ山脈・メルー峰にある「シャークス・フィン」ルートの初めての登頂を記録したドキュメンタリー映画になっている。
ドキュメンタリーではあるのだが、映画という作品としての魅力は充分備えていて、刺客的にも叙述的にも観た者を引き付け、緊迫感や緊張感と共にそこにあるリアルなスリルを痛感できる。
メルー峰とは
メルー峰(Meru Peak)は、インド ウッタラーカンド州にあるガルワール地方のヒマラヤ山脈の山で、タレイ・サガーとシブリン峰の間にあり、非常に難しいルートがいくつか存在する。
「メルー」という名前は、タミール語の原始語である背骨を意味し、山の形を指していると考えられる。
標高は6,660メートル。
「エベレスト」「マッターホルン」などは、山や登山などに興味が無くとも聞いたことがある人は多いと思う。
そして今作の舞台である「メルー」は、世界最高峰の高さではない。
しかし、通常の登山であれば荷物などを運んだり案内役だったりするシェルパという同行者を雇って登山するのが基本なのだが、この山はそのシェルパを呼べるような山ではない。
とてもじゃないが信じられないほど垂直な急斜面だけでなく、山を形成する地層も脆いことで有名。
そんな中を登山するメンバーは全ての荷物をそれぞれが背負いながら、上記のような想像を絶する過酷な条件だけでなく急激に変化する天候の中で2週間程度かけて登らなければならないということもあり、登頂を成功させた人は居なかった。
そして今作の3人が初めて登頂に成功する。
その過酷極まりない出来事を様々なエピソードやインタビューを盛り込みドキュメンタリー映画として成立させている。
登山という物に興味が無いどころか、そもそもそんな危険を冒してまで登ろうとするのかという疑問を持ったことがある人も少なくないだろう。
そんな人だとしても、今作は最初の挑戦の失敗と2度目の挑戦の間に訪れた出来事などを含め人間ドラマとしての完成度が高いので楽しめると思う。
ただ、そもそもこういった角度からの見方は適切ではないと思うので不要かもしれないが、あくまでドキュメンタリーであって筋書があって描かれたものではない。
そのため、迫力のあるカメラワークがあるというわけでもなく特に凝っているような点もないし、どちらかというと淡々と進む。
しかしながら、派手さもなく淡々と進む映像だからこそこの3人に襲い掛かる自然の真実を感じることが出来る。
そんな死と隣り合わせの瞬間瞬間で、登場人物の細かい感情や心理がその映像からひしひしと伝わってくるので、エンターテインメントとしてのハラハラドキドキとはまた違った感覚を味わう事も出来る。
常識的には考えられない2度目の挑戦を行った3人が奏でる人間ドラマと、登山と過酷な自然を舞台にしたドキュメンタリーをバランスよく組み合わせることに成功している中々観ることの出来ない良い作品だった。
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