『ディープ・インパクト』感想・紹介・レビュー【最期の時】
ディープ・インパクト
1998年に公開されたアメリカ合衆国のパニック(ヒューマンドラマ)映画。
監督をミミ・レダー、脚本をブルース・ジョエル・ルービン、マイケル・トルキンが務めた。
出演
- ロバート・デュヴァル
- ティア・レオーニ
- イライジャ・ウッド
- ヴァネッサ・レッドグレーヴ
- マクシミリアン・シェル
- モーガン・フリーマン
- リーリー・ソビエスキー
序盤のあらすじ
天文部に所属する高校生、リオ・ビーダーマンは天体観測中に彗星を発見。
その情報を天文台のウルフ博士に伝える。
計算の結果、彗星が地球に衝突するとの結果を弾き出し、博士は情報を持って移動するが交通事故で亡くなってしまう。
1年後、テレビ局に勤めキャスターを目指しているジェニーは、元財務局長官の突然の辞職の理由が「エリー」という女性との不倫スキャンダルだと読んで取材をしていた。
「エリー」に関して嗅ぎつけられたと思った政府はジェニーを連行、アメリカ大統領トム・ベックのもとに通すと、大統領は2日後に行う緊急会見に好待遇で出席させる事を条件に、それまでスクープを伏せて欲しいと要求する。
2日後その緊急会見にて「ウルフ=ビーダーマン彗星」が1年後に地球に衝突する事と、衝突回避のための「メサイア計画」が発表された。
引用:Wikipedia
今作は、こういったパニック映画では一般的に使われている派手なCG演出で人々や動物などが逃げ惑う混沌と化した様子を描くことが多い中、世界的な人類存亡の危機に陥ってしまった状況下における登場人物たちの心理描写や人間関係、その危機に対する政府機関の危機管理対策を主軸にして描くという、典型的なパニック映画とは一線を画す内容となっている。
今作の評価で見るのが、この『ディープ・インパクト』の2か月後に公開された『アルマゲドン』との比較で「地味で見応えに欠ける」「迫力がない」「ディープコンパクト」というような批判的な意見。
その意見も分からなくもないし、そもそもの原因はアメリカの映画制作システムである「1つの映画作品に多いと30人ほどの脚本家が関わる」ということにあるので、似た作品が出来てしまう事によって娯楽やより強い刺激を求める人にとっては、物足りなさを感じてしまうのだろう。
しかしだからといって、今作が1つの作品として劣っているかと言われたらそんなことは一切ないと個人的には考えている。
いわゆる派手な演出の多い娯楽大作と同じような観方をしてしまえば、地味に見えるかもしれないが、「隕石」という人類どころか生物にとっての危機的状況下においての人間ドラマはかなり魅力的。
シェルターに入れば助かる可能性があり、入る権利があるのにも関わらずどうにかしてシェルターに入る権利のない幼馴染を救うために奔走する少年。
同じく権利があるが、父親と命のその最期の瞬間を共に迎えようとするキャスター。
もう助かるという事を諦め、死を受け入れ、身の回りの整理をし始める女性。
様々な立場や状況にある人々が命が助からないことを知った上での様々な行動や心理を丁寧に丁寧に描いている。
それでいて心理描写などを丁寧に描くと退屈に感じてしまう事の多い人間ドラマが多い中、リアリティのある描写に説明口調になることのない展開方法によってあっという間に2時間1分が過ぎ去っていく。
人間だれしも生きていれば逃れることの出来ない「死」。
しかし、この作品の様にある意味では確定的なタイムリミットを突き付けられた時に自分がどういった行動を取るのだろうか、取るべき行動は何なのだろうかと観るたびに深く考えさせられる。
恐らく、実際にこの状況に置かれた多くの人は混乱してまともに思考することなど不可能に近いだろう。
しかし、理由はどうあれ「死」「終わり」というものは確実に訪れる。
それが分かった時に自分がどう考えるのか、どう行動するのかということを今作を通じて1度考えてみてはいかがだろうか。
小ネタ
今作は元々1970年代の中ごろに、リチャード・ザナックとデビット・ブラウンがパラマウント映画からリメイク権を取得し、制作準備に入った。
しかし作業が進まずに計画休止状態となり、スピルバーグが計画していた他作品なども巻き込み1993年にやっと脚本の執筆がなされた。
結果として約20年にもわたって紆余曲折を経た上で制作が開始された。
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