『コレクター』感想・紹介・レビュー【サスペンス風バディムービー】
コレクター
1997年に公開されたアメリカ合衆国のサスペンス映画。
監督をゲイリー・フレダー、脚本をデヴィッド・クラスが務めた。
原題: Kiss the Girls
出演
- モーガン・フリーマン
- アシュレイ・ジャッド
- ケイリー・エルウィス
- トニー・ゴールドウィン
- ジェイ・O・サンダース
- ビル・ナン
- ブライアン・コックス
序盤のあらすじ
犯罪心理学の博士号を持つ警官のクロスは姪のナオミが誘拐事件に巻き込まれた事を知り、現地へ向かう。その誘拐事件では既に8人の女性が誘拐され2人が殺されていた。
クロスは地元警察のラスキン刑事から事件の詳細を聞かされる。
そんな中、また被害者の遺体が発見された。犯人の殺害手口は残忍で証拠は何一つ残さない。
クロスは犯人の犯罪傾向から女性を収集する異常なコレクターだと分析する。
そして遺体が木に裸で縛り付けられていること、また遺体発見と誘拐の順序が違うことから「何かルールがあり、それを破ると罰として森を歩かせているのではないか」と推理する。
引用:Wikipedia
今作は、ジェイムズ・パタースンが1997年に発表した『Kiss the Girls』を原作とし、アメリカのとある場所で起きていた連続猟奇殺人事件を捜査する心理学者の顔も持つアレックス・クロス刑事と、殺人犯の9番目の犠牲者になるはずだったが、犯人のアジトから脱出に成功したケイトをメインに定番サスペンスとして描かれた作品。
制作されたのが20年以上前ということが直接的に関係しているわけではないが、定番テーマであり言ってしまえば割と王道的に進むのもあって、本格的なサスペンスやミステリーとしては様々な部分で物足りないかもしれない。
カサノバを自称する犯人は獲物である女性を拉致監禁し、全員殺すという訳でなく邦題の”コレクター”通りに美女をコレクションするという点では犯人の精神的異常性を表面的に感じることは出来るのだが、その犯人の深い心理部分や監禁された被害女性などの心理描写などもほぼ掘り下げてはいない。
その辺りがもう少しきちんと練られた上で各登場人物、特に犯人の心理描写などを描くことが出来ていればサスペンス、スリラーのカテゴリーで、もっと魅力的な作品になっていたのではないだろうか。
こういった軽めのタッチだからこそ観易く感じる人も居るのだとは思うが、ある程度同カテゴリーを好んで観てきた人にはそこまで満足感は得られない可能性が高い。
あくまで今作は犯罪心理学のプロでもあるモーガン・フリーマン演じるアレックスと、被害女性の中で唯一犯人から逃れることに成功したアシュレイ・ジャッド演じるケイトが、今もなおコレクションされている女性たちを救出するために奮闘するサスペンス風バディムービーと言ったほうがしっくりくる。
正直言ってしまえば、いくら唯一の目撃者であるが故にその目撃証言は重要とはいえ被害者であるケイトが、そのまま捜査協力するというのは流石にサスペンス物としてはリアリティに欠ける。
そしてこれが一応カサノバの正体の伏線になっているのかもしれないが、カサノバがターゲットに接触する際に使用する手段がアレックスの尋問手法と同様というだけでほとんどの人が具体的に誰とまでは行かなくとも、ある程度想定出来てしまってその正体に対する意外性を感じる事が出来ない。(あれが伏線だというのであれば大分雑)
もう少し、現代で言えばプロファイルを駆使しながらカサノバと高度な心理戦を繰り広げながら、その要所要所に伏線ともとれるような要素を散りばめたりは出来なかったのかなと思ってしまった。
折角モーガン・フリーマンを起用しているのにも関わらず、彼の存在感や圧倒的な演技力が発揮されているとは言いにくい。
冒頭でサスペンススリラーとしてカテゴライズしてはいるが、基本的にはサスペンス風バディアクションということを頭に入れて観ると良いだろう。
気軽に観ることの出来る作品として考えればそれなりに楽しむことはできるが、個人的にはちょっと物足りなさを感じてしまう作品だった。
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