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『1917 命をかけた伝令』感想・紹介・レビュー【忘れられた戦争】

1917 命をかけた伝令

1917 命をかけた伝令 (字幕版)

 

2019年に公開されたイギリス・アメリカ合衆国の戦争映画。
監督・脚本をサム・メンデス、共同脚本をクリスティ・ウィルソン=ケアンズが務めた。

出演
  • ジョージ・マッケイ
  • ディーン=チャールズ・チャップマン
  • マーク・ストロング
  • アンドリュー・スコット
  • リチャード・マッデン
  • クレア・デュバーク
  • コリン・ファース
  • ベネディクト・カンバーバッチ

 

序盤のあらすじ

1917年4月6日、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ只中にあった。

その頃、西部戦線にいたドイツ軍は後退していた。

しかし、その後退はアルベリッヒ作戦に基づく戦略的なものであり、連合国軍をヒンデンブルク線(英語版)にまで誘引しようとしたのであった。

イギリス陸軍はその事実を航空偵察によって把握した。

エリンモア将軍は2人の兵士、トムとウィルを呼び出し、このままでは明朝に突撃する予定のデヴォンシャー連隊(英語版)第2大隊が壊滅的な被害を受けてしまうが、彼らに情報を伝えるための電話線は切れてしまったため、現地へ行って連隊に作戦中止の情報を伝えることを命じられた。

第2大隊には1,600名もの将兵が所属しており、その中にはトムの兄・ジョセフもいた。

引用:Wikipedia

 

今作は、第一次世界大戦に投入された2人の伍長代理であるウィルとトムの、とある1日を全編ワンカットに見えるような密着取材のような手法で撮影された作品。
あくまで”見えるように”であって、実際には動きを綿密に計算した複数回の長回しによって撮影された映像をワンカットに見えるように編集で繋げたもの。

 

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今作の主人公2人は前述した通り「伍長代理」で、新兵ではない。
こういった作品だと新兵、もしくはその戦争の英雄的な存在に着目して作られることが多いのだが、それなりに複数の戦場を経験したのであろう上等兵であることに意味が有ると感じた。
新兵が感じる新鮮さから来る戦争の怖さではなく、理解しているからこその怖さ、理解しているからこその感情というのが映像から発せられる緊張感をより一層、重い物にしている。

 

先の事すら考える余裕などなく、”今” を必死に生き抜くことに全神経を集中させなければならない状況が続くさまは観ているこっちまで息が詰まるようだった。
ここで生きてくるのが「ワンカットに見える映像」で、主人公2人に常に寄り添っていることで視聴者は常に主人公と同じタイミングで同じ体験をし、同じ感情を抱けるということに一役買っている。

 

ただ、人によっては「ワンカットに見える」が故にどうしても映像自体が同じような場面の繰り返しに見えてしまう可能性も否めない。
この当時の戦争という過酷な現実世界で生きる事の本質を問いかけているような作風なのもあって、変に演出されたシーンや会話があるわけではないので好き嫌いがはっきり分かれるかもしれない。

 

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個人的にはそう感じさせないためかどうかは分からないが、戦場の廃墟を映し出す光とそれによって浮かび上がる影や、戦火によって赤く染まる市街地の情景などは物悲しさは勿論だが、一種の美しさを感じるほどの映像美だと感じた。
しっかりと映像の中にも製作チームの工夫が見て取れる作りだと思うので、いわゆる「分かりやすい派手さ」が欲しい人以外は満足できるのではないだろうか。

 

野心的な取り組みなのもあって、所々気になる部分がないわけではないがこういった挑戦をしつつ「映画」という1つの作品を成立させることの出来る監督は多くないので貴重だろう。
中盤以降に主人公が直面する問題の場面では若干冗長になってしまっていたりするものの、作品を通して観ればかなり良い出来だと思うのでオススメ出来る作品と言える。

 

小ネタ

戦場でのシーンが主なため、大量の偽死体が設置された。
それに伴って、製作チームは地元住民などが死体を本物と勘違いしてしまう事を防ぐために「これらの死体は全て模造品です」という看板を設置した。

 

 

 

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