『オンリー・ザ・ブレイブ』感想・紹介・レビュー【自然災害と戦う英雄たち】
オンリー・ザ・ブレイブ
2017年に公開されたアメリカ合衆国の伝記ドラマ映画。
監督をジョセフ・コシンスキー、脚本をケン・ノーラン、エリック・ウォーレン・シンガーが務めた。
出演
- ジョシュ・ブローリン
- マイルズ・テラー
- ジェフ・ブリッジス
- ジェームズ・バッジ・デール
- テイラー・キッチュ
- ジェニファー・コネリー
序盤のあらすじ
自堕落な日々を過ごしていたブレンダンは、恋人の妊娠をきっかけに真面目に生きることを決意し、地元の森林消防団に入隊する。
ブレンダンは毎日地獄のような訓練を過ごしながらも、チームを率いるマーシュら仲間たちとの絆を深め、少しずつ成長していく。
そんなある日、山火事が発生。
それは瞬く間に山を丸ごと飲み込むかのように拡大、ブレンダン達はさらなる延焼を食い止めるべく出動する。
引用:Wikipedia
今作は、2013年にアメリカ合衆国のアリゾナ州で発生した巨大な山火事「ヤーネルヒル火災」に立ち向かった精鋭消防部隊である、グラナイト・マウンテン・ホットショッツの奮闘劇を実話をベースに描いた作品。
ヤーネルヒル火災とは
アメリカ合衆国のアリゾナ州のヤーネルヒル近辺で起こった山火事。
2013年6月28日に落雷によって発生した火災はアメリカ史上最悪の山火事の一つになり、消火活動に出動した地元の消防隊であるグラナイト・マウンテン・ホットショッツのメンバー19人が死亡した。
この死者19人という数字は、消防士の犠牲者数としてはアメリカ同時多発テロ以降としては最多であり、山火事の犠牲者としては過去80年で最も多い惨事。
アメリカでの山火事というのは日本でも度々報道されているのでイメージのある人が多いとは思うのだが、あくまでも違う国での出来事なのもあってその規模の大きさなどはあまり記憶に残らないことが多いだろう。
日本国内で大規模な山火事というのが少ないというのも、起因しているとは思うが。
今作は実際の山火事をベースにしている上に、実際にアメリカの山火事で行われる消火方法なども再現されているために色々な面で学びがあり驚きがある。
恐らくほとんどの人が知らないであろうこととしては、山火事を消化するために溝を掘って向かってくる炎に対して逆側から新しく火を付けることで燃焼物を無くし、その結果炎を止めるという手法などは視聴者にとっては斬新に映るのではないだろうか。
それほどまでに考えられた方法を以てしても、短時間では完全な消化という形にはならない一度起きてしまえば延々と続く神々しさすら感じさせる炎が持つ恐怖と威力。
そしてその炎と真正面から向き合うグラナイト・マウンテン・ホットショッツという、過酷な訓練を受けたタフで気の良い精鋭部隊。
そんな彼らが個人個人が抱える家庭問題を含めた、苦悩や葛藤とも同時に向き合い「人」として成長していく姿もしっかりと描いていて、人間ドラマとしても見応えがあり心地よく観ることが出来る。
それらが更にあのラストをより一層、視聴者へ驚きと衝撃を与える事に一助している。
火災をテーマにした映画と言えば『バックドラフト』が有名で、興行的にも成功した例だ。
しかし、今作は興行的にも成功とは言えないし有名な作品でもない。
それは脚色があるとはいえ実話がベースとなっていて、映画的なカタルシスよりもそこにある真実や立ち向かった人々の勇姿、火災というものがもたらす悲惨さなどを重視し追求したものだからであって、作品としての出来が悪いとかそういうことでは断じて無い。
火災だけに限らず、自然災害に立ち向かう英雄とも言える人々の尊い献身の姿に多いに心揺さぶられると同時に、彼らへの尊敬の念を強く感じる素晴らしい作品だ。
グラナイト・マウンテン・ホットショッツの方々に、心より哀悼の意を表します。
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