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『完全なる報復』感想・紹介・レビュー【緻密な復讐劇】

完全なる報復

完全なる報復 (字幕版)



2009年に公開されたアメリカ合衆国のヴィジランテサスペンス映画。
監督をF・ゲイリー・グレイ、脚本をカート・ウィマーが務めた。
原題:Law Abiding Citizen(法律を遵守する市民)

出演
  • ジェラルド・バトラー
  • ジェイミー・フォックス
  • ブルース・マッギル
  • レスリー・ビブ
  • コルム・ミーニイ
  • ヴィオラ・デイヴィス
  • レジーナ・ホール

 

序盤のあらすじ

ペンシルベニア州フィラデルフィア。

優秀なエンジニアであるクライド・シェルトンは、愛する妻と幼い娘と共に幸せな家庭を築いていた。

ある日、家を2人組の強盗に襲われてクライドは目の前で妻子を惨殺され、自身も重傷を負う。

間もなく犯人たちは逮捕されるが、確実に有罪にできるほどの証拠はなく、司法に熟達し、野心家でもある担当検事ニック・ライスは、自身の高い有罪率を維持するためにクライドの意向を無視し、一方的に主犯であり直接妻子を殺害したダービーと司法取引を行う。

結果、従犯に過ぎなかった気弱な青年エイムスに死刑判決が下る一方で、ダービーは数年の刑期に留まり、さらに法廷では「運命には逆らえない」と嘯く。

引用:Wikipedia

 

今作は、家族と幸せに暮らしていたが妻子を無残に殺害され、その事件に関わった人間に対しての復讐に燃える関節殺人のエキスパートであるジェラルド・バトラー演じるクライト・シェルトンと、彼が起こす事件を担当しながらも自らも復讐の対象となっているジェイミー・フォックス演じるベテラン検事の終わりの見えない攻防劇を描いた作品。

 

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冒頭で「ヴィジランテサスペンス」と紹介したが、ヴィジランテって何?という人も居ると思うので軽く解説。
ヴィジランテ=数多く存在する映画ジャンルの1つで、主人公が正当な司法の手から離れて私刑や復讐のために犯罪者や組織を相手にする作品。
良く見られるパターンは、家族などを殺害されるなどして司法制度に失望した主人公が私刑によって復讐を達しようとする復讐映画。

 

復讐をする側のクライドが主人公ではあるのだが、司法取引を行って自ら担当する裁判の有罪率を上げることで出世を狙う検事のニックも、典型的な出世欲に駆られた男というだけでなく家庭を大事にする「良き夫」としても描かれているので、どちらにでも感情移入することが出来ると思う。

 

そして序盤はただ純粋に復讐に走っているだけに思えるクライド。
しかし、中盤辺りから復讐という要素がないわけではないものの、アメリカ合衆国の歪んだ司法制度をどうにかして変えたいという側面も見えてくるのがポイント。
法律をあざ笑うかのように関係者を次々と時には不必要に暴力的な方法で抹殺しているが、このやり過ぎと思わせる事こそ狙いなのだろう。

 

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ストーリー展開もその要素のおかげで視聴者を引き込む作りになっている。
シナリオは分かりやすく作り、冒頭に誰がどう見ても悪人として判断するであろう悪役を出すことで主人公の復讐を正当化させることで、序盤はこの復讐劇を復讐者の立場で観進めていく。
中盤辺りまで進むと前述した「やり過ぎ」と思わせるようなシーンを連続して流すことによって、視聴者は復讐を阻止する側(検事であるニック)の立場に徐々に移っていく。

 

ストーリー展開自体が複雑な展開をすることで引き込むのではなく、視聴者の心を登場人物の間で行ったり来たりさせることでグッと物語に引き込む手法は素晴らしい。
勿論「やり過ぎ」なシーンはそういった意味合いで必要不可欠なものなので、苦手な人はちょっと難しいかもしれないが観ればなぜ必要なのかというのが分かると思う。

 

これは個人的な感想かもしれないが、ジェラルド・バトラーの醸し出す雰囲気と演技力、表現力がこの「やり過ぎ」感のあるキャラクターを成立させていると感じた。
家族とともに過ごしている時の心優しい父親の表情と、冷酷に躊躇なく決して本当の感情を表に出すことなく次々と殺害していく時の表情のギャップが凄まじいのだが、それを見事に違和感なく演じている。


他作品でもそうだが、ジェラルド・バトラーが演じている役の場合はどんなことをやったとしても「この人ならやりそう、やれそう」と、思わせる領域まで達しているのではないだろうか。

 

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ラストの展開や結末に関しては賛否両論あるとは思うのだが、2時間に満たない映画という1つの作品の中で纏めることを考えると、個人的にはそれなりに悪くない落としどころだったし、分かりやすいストーリーでありながら考えさせられる内容で良作だと感じた。

 

 

 

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