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『ワールド・オブ・ライズ』感想・紹介・レビュー【傲慢と復讐心】

ワールド・オブ・ライズ

ワールド・オブ・ライズ (字幕版)

 

2008年に公開されたアメリカ合衆国のアクションサスペンス映画。
監督をリドリー・スコット、脚本をウィリアム・モナハンが務めた。

出演
  • レオナルド・ディカプリオ
  • ラッセル・クロウ
  • マーク・ストロング
  • ゴルシフテ・ファラハニ
  • オスカー・アイザック
  • サイモン・マクバーニー

 

序盤のあらすじ

世界中を飛び回り、死と隣り合わせの危険な任務に身を削るCIAの工作員フェリス。

一方、彼の上司はもっぱらアメリカの本部や自宅など平和で安全な場所から、現場にいる人間を顧みず冷徹な指示を送るベテランCIA幹部ホフマン。

そんな生き方も考え方も全く異なる彼らは、多くの死者を出し続ける国際的テロ組織リーダーのアル・サリームを捕獲するという重要任務にあたっていた。

しかし、反りの合わない2人は、フェリスがイラクで接触した情報提供者であるニザールをめぐる意見でも対立する。

引用:Wikipedia

 

今作は、デヴィッド・イグネイシャスの同名小説を原作に映画化された作品。
一応戦争をテーマにした映画ではあるが、単純なアクション物というわけではなくCIAとテロリストが絶妙なリアリティと錯綜する頭脳戦を主軸に置き描かれているので、アクション映画を求める人には少し物足りないだろう。


戦地や軍事作戦における頭脳戦や、関係者同士の人間性の対比などどちらかというと硬派よりの作品が好みの人にはピッタリなのではないだろうか。
ただ、アメリカ合衆国特有の傲慢さが余りにもリアルに描かれているのでそういった要素が合わない人にはダメかもしれない。

 

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ラッセル・クロウ演じるCIA中東担当のエド・ホフマンがやり過ぎなのではと思うくらい傲慢で利己的。
アメリカこそ1番だと思っていて、それをなんの躊躇もなくひけらかし中東は世界でも最悪の国家だと考えるだけでなく、差別的な目つきで中東の人々を見る演技は凄まじい。
例え協力者であろうとそれは変わらず「中東」というだけで全く敬意を払う事はしない。

しかし、そのエドの酷さによってディカプリオ演じる主人公フェリスの演技がより一層違和感なく自然に感じられる。
エドからの命令で伝えることは許されていないが、ハニに嘘を付くことになってしまうことへの葛藤の表情や目の演技、ラストシーンの様々な感情が入り混じった絶妙な表情は置かれた状況下を的確に表現し視聴者へそれを伝えることに成功している。

 

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硬派な作風とやり過ぎ感も否めないが攻めた人物設定など、個人的には好みの作品ではあるのだが、リドリー・スコット監督作品としては興行的には不作だった上にいわゆる批評家にウケが良くない。
欧米vs中東という図式は『ブラック・ホーク・ダウン』などのような非常にドライにリアリズムを徹底している点は素晴らしいのだが、今作の場合その先があまりにも明確にアメリカに向けられたものだったのが原因だろう。

 

人を道具としてしか見ていないCIAの中東担当のラッセル・クロウ演じるエドと、その現地でテロリストの探索に文字通り身体を張るレオナルド・ディカプリオ演じるフェリスの関係性は、現代におけるアメリカの中東政策への非難になっているのも国内でウケが良くない理由なのだろうが、裏を返せばそれだけリアリズムを追及した作品だということが分かる。

 

リアリズムを追求した作品はかなり人を選ぶとは思うが、世界での中東という地域の置かれた立場、状況をまざまざと見せつけられ大国の傲慢に振り回されることの理不尽さを痛感する作品だ。

 

小ネタ

『グラディエーター』など様々なリドリー・スコット監督作品に出演しているラッセル・クロウは、電話で直接オファーを受けた。
その時の監督の第一声は「体重を20Kg増やしてほしい」だった。

 

 

 

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