『チョコレートドーナツ』感想・紹介・レビュー【愛情とは】
チョコレートドーナツ
2012年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画。
監督・脚本をトラヴィス・ファイン、共同脚本をジョージ・アーサー・ブルームが務めた。
出演
- アラン・カミング
- ギャレット・ディラハント
- アイザック・レイヴァ
- ドン・フランクリン
- ジェイミー・アン・オールマン
- フランシス。フィッシャー
序盤のあらすじ
1979年のカリフォルニア。
歌手を夢見ながら、ショーパブでパフォーマーとして日銭を稼ぎ暮らすルディは、客として訪れた検事局のポールと心を通わせ合い、交際を始める。
そんな折、ルディはアパートの隣の部屋に住むダウン症の少年マルコが、危険薬物を所持し逮捕された母親のために、施設へと隔離された事実を知る。繰り返されるマルコの脱走に心を痛めたルディは、ポールを説き伏せてマルコを引き取りともに暮らそうと提案する。
引用:Wikipedia
今作は「1970年代のニューヨーク・ブルックリンでゲイの男性が育児放棄された障害児を育てた」という実話から着想を得て映画化された作品。
脚本を務めたジョージ・アーサー・ブルームは、モデルとなったゲイの男性を友人に紹介され、彼がその子供を養子にしようとしたらどうなるだろうかと考え始め、ゲイの男性が少年を養子にしようとしたときに直面するであろう問題を調査していた数か月後には脚本が出来上がっていたという。
現実でも起こり得るであろう理不尽且つ悲しい出来事という、重めのテーマでありつつも要所要所でユーモアを交えて展開させバランスよく仕上げている。
何処でも一概に当てはまるわけではないと思うが、ゲイのカップルが社会的に決して認められずに、偏見の目で見られることを描いていると同時に、血など繋がっていなくとも家族となり得ることをシンプルに描いたとても美しい作品。
この作品を観ると「愛情」というものがどれだけ人間が生きていく上で必要な物なのか痛感する。
ただ、美しい愛の物語という表現をしてしまうにはやるせない悔しさ、辛さ、憎しみ、不安感など複雑な感情がこみ上げてくる。
そして、それらによりダウン症の少年マルコに向けるルディの慈愛に満ちた表情が、置かれた状況や環境を考えると何とも言えない気持ちになる。
ただのお涙頂戴の典型的なメロドラマではなく、繊細な作品をアラン・カミング、ギャレット・ディラハントの名演は勿論、今作が映画デビューとなるアイザック・レイヴァが表現するこの物語は観た人の多くを涙させ、ある種人生観を変えさせてしまうほどの力を持った作品となっている。
昔と比較すれば偏見や差別などは多少マシにはなったのかもしれないが、まだまだそういった理不尽な扱いを受けている人は沢山存在するだろう。
言うのは簡単だし綺麗事にしか聞こえないだろうが、こういった偏見差別に対して改めて考えることが出来る作品を観る事で、時間はかかったとしても1人でも多くの人がこの物語を心の隅にでも置いておくことが出来れば、今よりも理由なき理不尽な行為が減っていくのではないだろうか。
小ネタ
アメリカを始め様々な国で高い評価を受けていたが、日本での上映は当初たったの1館。
様々な日本のテレビ局に売り込んだものの「ゲイカップルとダウン症の映画なんて紹介できないよ」と断られ続けた。
しかし映画コメンテーターのLiLiCoが『王様のブランチ』で号泣しながら今作を紹介し、その翌週から上映館が140にも増え広く知られるようになった。
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