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『アメリカン・ギャングスター』感想・紹介・レビュー【異なる二人、似ている二人】

アメリカン・ギャングスター

アメリカン・ギャングスター (吹替版)

 

2007年に公開されたアメリカ合衆国のクライムアクション映画。
監督をリドリー・スコット、脚本をスティーヴン・ザイリアンが務めた。

出演
  • デンゼル・ワシントン
  • ラッセル・クロウ
  • キウェテル・イジョフォー
  • キューバ・グッディング・ジュニア
  • ジョシュ・ブローリン
  • テッド・レヴィン

 

序盤のあらすじ

キング牧師が暗殺され、ベトナムではテト攻勢で潮目が変わった1968年

ハーレムの名物男で知られた”バンピー”ジョンソンの運転手だったフランク・ルーカス(デンゼル・ワシントン)は、バンピー没後に家族の力を借りて独立、麻薬ビジネスに手をつける。

フランクは、従軍している親類を利用して現地でヘロインを直接買い付けるルートを確立、帰還兵を乗せた軍用機を利用してアメリカ国内に運び込む方法で、安価で質の高い麻薬「ブルーマジック」を売りさばき、「カウンシル(council of 12)」を率いるニッキー・バーンズと並び麻薬業界の大物として、一大勢力を築き上げる。

引用:Wikipedia

 

今作は、実話を基に1970年代初頭のアメリカ・ニューヨークの麻薬、賄賂、汚職に関連したマフィアと当局との戦いを、長きにわたってその存在が表に出ることは無かった麻薬組織のトップと正義を貫く麻薬捜査官の、決して交わることのない2人のプライドをかけた戦いを描いた作品。

 

上映時間は2時間36分とかなり長めの作品ではあるが、2つの異なるストーリーがいつ交差するのか分からないハラハラ感で目を離せず、観続けた先には当時のアメリカという国の実情が痛感できる。

 

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冒頭から2つのストーリーが並行して進むのだが、場面転換してもテンポが崩れることは無く小気味いいテンポのまま進んでいく。
ただ、基本的には硬派路線ではあるのだが、作中にちょこちょことお色気シーン的なものが入るのは個人的には否定的。
物語の進行にあたって必然性があるのであれば仕方ないが、大抵アメリカ映画のお色気シーンは不要なものが多く、今作も正直必要なのかは分からなかった。

 

アメリカという巨大な国の中で、個人がどれだけ大きな力を持ったとしてもその個人が出来る制御はたかが知れていて、限界があるという世の中の流れを作中ではっきりと明示することで世代交代の必要性を訴えている。

 

恐れを知らない、もしくは感情から恐怖というものが欠如しているとすら感じさせるデンゼル・ワシントン演じるフランクと、優秀で敏腕刑事なのにも関わらず人前で話すこと自体が恐怖の対象となってしまうラッセル・クロウ演じるリッチーを対比させることで、テーマとは直接関係ないのだが、リッチーの刑事としての成長を垣間見ることもできる。

 

この置かれた立場も境遇も、人間性も性格も何もかも異なる2人ではあるのだが、作品を観ていると頭のどこかでは相手に対してある種の敬意を払っているようにも感じ取れる描き方が面白い。

 

矛盾しているかもしれないが、言ってしまえばこの全く異なる2人は同じタイプの人間だったのではないだろうか。
その道をブレることなく信念のもと真っすぐ生きた、頭のキレる2人。
そして躊躇することなく振り返ることなどなく前に進み続ける姿勢に、2人は意識し合い本来であればあり得ない奇妙な友情のようなものが生まれたのかもしれない。

 

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この作品は冒頭でも触れた通り、2時間半以上の上映時間なのもあって観る前は上映時間の長い映画特有の無駄なシーンや無駄なセリフなどが多い結果長くなっているのかと思っていた。
しかし、お色気シーン的な物は確かに疑問は残るものの、それ以外に関して言えばこの長丁場ですら足りないんじゃないかと思わせるくらいだ。
悪く言えば説明不足ということになってしまうかもしれないが、2時間半を超える映画をまるで飽きさせることのない作品に仕上げているのは流石リドリー・スコットといったところ。

 

並行して進む異なる2つのストーリーで視聴者の期待値を上げたのもあって、1つの作品として仕上げようとした結果少しあっけなさが残ってしまう惜しさはあるが、「ギャングの波乱に満ちたストーリー」「ギャングを追い詰めるサスペンス」という、1つ1つ分けても良い作品になったのではないかと思わせる展開を上手く配分しまとめ上げた面白い作品。

 

 

 

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