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『ア・フュー・グッドメン』感想・紹介・レビュー【それぞれの真実】

ア・フュー・グッドメン

ア・フュー・グッドメン (字幕版)

 

1992年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画。
監督をロブ・ライナー、脚本をアーロン・ソーキンが務めた。

出演
  • トム・クルーズ
  • ジャック・ニコルソン
  • デミ・ムーア
  • ケヴィン・ベーコン
  • キーファー・サザーランド
  • ケヴィン・ポラック

 

序盤のあらすじ

キューバにあるグァンタナモ米軍基地で海兵隊員ウィリアム・T・サンティアゴ一等兵が殺害された。

被疑者は同じ部隊のハロルド・W・ドーソン上等兵とローデン・ダウニー一等兵。

彼らの弁護人に任命されたダニエル・キャフィ(トム・クルーズ)中尉はハーバード出身だが法廷経験がない。

被告2人は軍隊内の落ちこぼれに対する通称「コードR」(CODE RED規律を乱す者への暴力的制裁)の遂行を命じられていた。

ソフトボールに没頭するキャフィは裁判を簡単にすまそうとしていたが、特別弁護人ジョアン・ギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)が司法長官だった父のことも話題にして叱咤。

引用:Wikipedia

 

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今作は脚本を務めたアーロン・ソーキンによる同名の舞台劇『A Few Good Men』を基に映画化されたもの。
アメリカ海軍内の軍事裁判を舞台に、1人の海兵隊員が殺害された事件についての法廷闘争を物語の進行度と比例するように事の重大さや事件の 全貌が明らかになるような作りで描かれた作品。

 

法廷闘争がメインではあるが、演出や登場人物それぞれの立場や役割、言動を主軸に置いた上で展開されていくので複雑どころか物凄く分かりやすく、すんなりと頭に入ってくる。
その分かりやすく作られた物語の中にはしっかりと、アメリカの軍隊内部における絶対的な縦社会の権力構造、戦地や軍事行動時の最前線に駐屯する兵士たちの緊張感、緊迫感、兵士1人1人の誇り、叩き上げのキャリアと弁護士、アナリストの専門職などが決して説明口調になることなく巧みな演出で盛り込まれている。

 

誰が見ても勝ち目のない軍事裁判で最終的に訴えるべき相手はグアンタナモ米軍基地のトップ。
証拠はおろか証言すらない状況で、どうやって勝ちをもぎ取っていくのか。
そんな圧倒的不利な中で勝ちに持っていくにはここしかないというポイントを的確に堂々たる姿勢で攻めていく展開には、観ている側もその気にさせられてしまう。


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あくまで映画という作品なのもあって、裁判や交渉は上手くいきすぎている感は否めないが、交渉術というものの1つの理想形として考えれば充分ありだし、実際に役立つような場面も数多く教科書的存在とも言えるのではないだろうか。

 

教科書的と言っても平凡な出来ということはなく、終始リアリティに溢れ俳優陣の鬼気すら感じさせる渾身の演技によって見応えが欠けることは無い。
今もなお社会主義の体制下にあるキューバ国土の一部をアメリカが永久租借している、最前線という言葉がこれ以上合う基地はないであろうグアンタナモ基地の存在が今作をより重厚なものにしている。

 

作品で感じるのだから実際は比較にならないほどなのだとは思うが、基地を取り巻く緊張感が映像からひしひしと伝わってくる。
作中の法廷におけるジャック・ニコルソン演じる基地のトップのド迫力な言葉も、この世界でも類を見ないほどの緊張感を保っている基地を担う立場だからこその責任感に裏打ちされていると考えるとそれもまた納得できる。

 

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今作は法廷闘争、裁判、ヒューマンドラマのいずれのカテゴリーで評価したとしてもかなり高い評価を与えられるのではないだろうか。

 

法務官にとって

総司令官にとって

被疑者の兵士にとって

海兵隊員にとって

それぞれの立場

役割そして真実とは何か。


現実に置き換えて観ると様々な面で考えさせられる作品だ。

 

小ネタ

ジャック・ニコルソン演じるネイサン・R・ジェセップ大佐が放った台詞「「You can't handle the truth!(おまえに真実は分からん!)」はアメリカ映画の名台詞ベスト100で29位にランクインしている。

 

 

 

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