『アデライン、100年目の恋』感想・紹介・レビュー【老いることの幸せ】
アデライン、100年目の恋
2015年に公開されたアメリカ合衆国のロマンスファンタジー映画。
監督をリー・トランド・クリーガー、脚本をJ・ミルズ・グッドロー、サルヴァドール・パスコウィッツが務めた。
出演
- ブレイク・ライヴリー
- ミキール・ハースマン
- ハリソン・フォード
- エレン・バースティン
- キャシー・ベイカー
- アマンダ・クルー
序盤のあらすじ
若く美しい女性アデラインは、交通事故と落雷による偶然が重なり、不老の体となってしまう。
その事実を知られないようにするために、アデラインはたびたび名前を変える必要があった。
当然のごとく、アデラインの恋は長続きすることがない。
サン・フランシスコに住みジェニーと名乗っているアデラインは、ニューイヤー・パーティでエリス・ジョーンズという青年と出会って、つき合い始める。
ジェニーはエリスの両親の結婚記念日を祝うため、彼の実家を訪れるが、そこでエリスの父親ウィリアム・ジョーンズに会うと、彼は初対面のはずのジェニーを見た途端に驚きの表情を浮かべ、「アデライン」と呼びかける。
引用:Wikipedia
今作は、アデラインという幸か不幸か事故の影響で老化が止まってしまい、100年以上も生き続けた1人の女性の数奇な人生を描いた作品。
多くの人が2008年に公開されたブラッド・ピット主演作品である『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』を思い浮かべるだろう。
タイトルやあらすじからは確かに部分的に似通った点はあるかもしれないが、作風や内容的にはかなり違う。
重く暗めの雰囲気で終始進むあちらとは違い、心地よいストーリー展開と凛としたアデラインの美しさ、舞台の街並みの風景や様々な景色は心に安らぎを与えてくれるような情景。
内容的にも、ただ単純に老化という概念がなくなってしまったというだけでなく、そうなってみないと分からないであろう苦悩や葛藤、長く生きてきたことによって悲しくも積み重ねることの出来た知性や心の強さで、様々な困難を乗り越えていこうとする真っすぐなアデラインの人柄なども丁寧に分かりやすく描かれている。
そして言うまでもなく、そのアデラインというキャラクターを設定以上に魅力的に感じさせる一因となっているのは、彼女を演じたブレイク・ライヴリー。
表面的な美しさだけでなく、心優しい声とその話し方や長い月日生きてきたが故に感じる知的な美しさは勿論のこと、何処か儚さや切なさを感じさせる笑顔を見事に表現している。
今作の魅力はもう1つ、エリスの父親ウィリアム・ジョーンズを演じたハリソン・フォードだ。
息子が家に連れてきたアデラインを見た時の信じられないという驚きの中に若干の嬉しさを含んでいるような表情や、それを心の中で否定するような目の演技は流石といわざるを得ない。
人間が「普通に老いる」ことの出来る幸せというものを存分に感じさせてくれる。
実際にアデラインの立場にならなければ決して理解出来る葛藤ではないと思うが、どんな関係性の人だとしても常に置いてけぼりを食らわされることの悲しさ、寂しさ。
はるか昔から「不老不死」が人の夢のように語られることが多いが、本当にそうだろうか。
周囲の人々と共に成長し共に老いていき共に死んでいくことは嫌な事だろうか。
詳細は避けるが、作品のラストで自分のとある部分を見て、恐らく老いることが出来なくなってから初めて安堵の表情を浮かべるアデライン。
その表情こそが全てを物語っていると視聴者は感じることが出来るだろう。
基本的にはファンタジーなので、根本的な設定や出来過ぎな展開に違和感を持ってしまう人は受け付けないと思うが、『天使のくれた時間』『ある日どこかで』や冒頭にも書いた『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などが好きであれば、視聴後に心優しい穏やかな気持ちになれる点で通じるものがあるので、観ることをオススメする。
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