『モリーズ・ゲーム』感想・紹介・レビュー【転落と成功と・・・】
モリーズ・ゲーム
2017年に公開されたアメリカ合衆国の伝記映画。
監督・脚本をアーロン・ソーキンが務めた。
出演
- ジェシカ・チャステイン
- イドリス・エルバ
- ケビン・コスナー
- マイケル・セラ
- ブライアン・ダーシー・ジェームズ
- クリス・オダウド
今作はモリー・ブルームが2014年に出版した自叙伝である『Molly's Game: From Hollywood's Elite to Wall Street's Billionaire Boys Club, My High-Stakes Adventure in the World of Underground Poker』を原作としている。
そしてアーロン・ソーキンの映画監督デビュー作。
序盤のあらすじ
子供のころから厳しいトレーニングを課せられてきたモリー・ブルームは、モーグルでオリンピック出場を嘱望されるまでになった。
しかし、ソルトレイクシティ五輪の出場資格を得るために出場した大会で重傷を負ってしまい、それが原因でスキー選手の道を諦めざるを得なくなってしまった。
法律家の道を歩もうとしたモリーだったが、どうにも決心を固めることができなかった。
そこで、彼女はロサンゼルスに移住し、自分を見つめなおす日々を送ることにした。
引っ越してすぐ、モリーはクラブで働き始め、そこで不動産業を営むディーンと知り合いになった。
引用:Wikipedia
人間の人生なんて、悪い時もあれば良い時もある上に第三者から見たら本人が思っているほど悪い状態には見えないこともある。
そして何だかんだ行動していればなんとかなるような気にさせてくれる作品。
実話ベースに作られているのもあって、ある程度の脚色はあるみたいだがリアリティは失われていないし、映像もファッショナブルでテンポも良く最後まで飽きることなく見ることが出来る。
主人公を演じたジェシカ・チャステインもその役柄にピッタリで、女性の魅力を存分に持ち、頭が非常に切れて、商売の才能もあり、どんな時でもエネルギッシュに行動するモリーという女性をこの人以外居ないんじゃないかと思わせる熱演。
スポーツの道を諦め、ある意味では両極の位置にあるギャンブルの道で生き抜いていく1人の人間の逞しさと強かさ、自分の中にしっかりとした矜持と信念を持った男前な女性を完璧に演じきっている。
魅力あふれるジェシカ・チャステインの演技力によって、一定のラインは越えているのだがストーリー展開の仕方や時間の使い方に関してはやはり監督デビュー作というのもあってか、気になる点も多々ある。
『ソーシャルネットワーク』『スティーブ・ジョブズ』などの脚本を手掛け、今作の脚本にも関わっているアーロン・ソーキン監督。
序盤から中盤にかけての、一気に駆け上がるような視聴者を引き込む展開は気分良く観ていられるのだが、それ以降テンポが落ちて若干ダレてしまうのが残念。
時間の使い方に関しては、恐らく監督の中には様々なやりたいことが有り2時間20分という時間の中では表現しきっていないのだとは思うが、この実話ベースのストーリーを1つの作品として扱うのであれば必要のない台詞や演出が多い。
個人的には結構な量の台詞やシーンを省略しても、ストーリー上は何も問題がなくむしろスムーズに進んだのではないかと感じた。
今作は実話ベースの作品なので一概に比較は出来ないが、こういった話の構成や展開だとニコラス・ケイジが主演した『ロード・オブ・ウォー』がお手本的作品なのではないだろうか。
社会的メッセージを込めながらも、コミカルな展開を盛り込み万人が観易く説明的になっていないものの分かりやすく最後までテンポよく進んでいく仕上がりは学ぶべきところが多いと思う。
『ロード・オブ・ウォー』の記事はこちら
1人の女性の転落と成り上がりを描いた波乱万丈な映画。
成り上がるための努力、間違った決断をしたが故の転落、そしてラストに彼女が手に入れた物から同じ境遇の人というのはまず居ないとは思うが、要所要所で共感できる部分もある良い映画に仕上がっている。
良質な脚本を多数手掛けてきたアーロンなので、今後の手腕に期待したいところだ。
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