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『ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~』感想・紹介・レビュー【人種と人間】

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~

ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある闘い~ (字幕版)

 

2019年に公開されたアメリカ合衆国の歴史ドラマ映画。
監督・脚本をロビン・ビセルが務めた。

出演
  • タラジ・P・ヘンソン
  • サム・ロックウェル
  • ウェス・ベントリー
  • バボー・シーセイ
  • アン・ヘッシュ
  • ブルース・マッギル

 

今作は、1971年のノースカロライナ州ダーラムという黒人差別が根強く残るアメリカ南部の街で、黒人学校と白人学校の統合をめぐり住民同士が話し合いで解決を目指している中で、KKKの支部長と女性黒人活動家という正反対、両極端な立場に居る2人が少しづつお互いを理解していくさまを実話ベースに描いている。

 

序盤のあらすじ

1971年、ノースカロライナ州ダーラム。同地の学校では人種隔離政策が取られており、白人の児童の教室と黒人の児童の教室が分かれていた。

それに異を唱える住民とそれを支持する住民たちの対立は深まる一方であった。

事態を重く見た役所はアン・アトウォーター(人種隔離に反対する公民権運動家)とC・P・エリス(人種隔離に賛成するKKKの幹部)を招いて協議の場を設けた。

「白人男性のKKK幹部と黒人女性の公民権運動家が議論したところで、すれ違いに終わるだけだ」と誰もが思っていた。

引用:Wikipedia

 

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KKKという組織を知らない人、名前は聞いたことあるけど詳しくは・・・という人に向けて軽く説明するとKKKとは「クー・クラックス・クラン」の略称でいわゆる”白人至上主義”と言われる団体。
ただ正確には、北方人種を至上として黒人やアジア人にヒスパニックを含む、他人種の市民権に対して異を唱えていて、更にはカトリックや同性愛者の権利運動やフェミニズムなどに対しても反対の立場を取っている。

 

 

 KKKをテーマにした作品『ブラック・クランズマン』はこちら。

 

 

冒頭で正反対、両極端という表現をしたがこの説明を読んでもらえればその意味を理解してもらえると思う。
今からたかだか50年前なのにも関わらず、人前で自分はKKKだと声に出して言うような世界が普通に存在していたと思うと恐ろしさを感じる。

 

現代でも人種差別問題というのは、無くなることのない悲しい理不尽な物として存在しているが、中々人前で「私は人種差別者です」などと大っぴらに言うような人はまず居ないだろう。

人類史上最大の問題と言ってもいいテーマを、しっかりと伝えつつ作品として成立させている。
いわゆる人種差別を描いた作品というのは、どちらか一方をとことん醜く描くことで視聴者の同情を誘う物や、それを越えておぞましさや怒りを感じさせるものが多いのだが、今作は人種関係なくどちらの立場も背景を掘り下げているので、短絡的な批判になっていないのも素晴らしい。

 

そんなこのテーマにしては珍しい展開のさせ方の中で俳優陣の名演が光る。
KKK支部長を演じたサム・ロックウェルは、彼以外がこの役を演じている画を全く想像が出来ないくらい雰囲気や空気感がピッタリ。
女性黒人活動家を演じたタラジ・P・ヘンソンは、典型的といえば典型的ではあるものの他の人では醸し出せない圧倒的な存在感。

 

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他の俳優陣も含めた名演のおかげもあって、実話ベースの美談ではあるが飾り気なく描かれ、当時のアメリカ南部が抱えた負の問題をテーマにしていても変に重苦しくなく進むので、黒人差別がまた改めて表面化しクローズアップされている今、その問題を1度観て考えてみては如何だろうか。

 

 

 

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