『マネーボール』感想・紹介・レビュー【GMの奮闘劇】
マネーボール
2011年に公開されたアメリカ合衆国のドラマ映画。
マイケル・ルイスの『マネー・ボール奇跡のチームをつくった男』を原作とし、オークランド・アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンがセイバーメトリクスを用い経営危機に瀕した球団を再建する姿を描く。
ベネット・ミラーが監督を務めた。
出演
- ブラッド・ピット
- ジョナ・ヒル
- フィリップ・シーモア・ホフマン
- ロビン・ライト
- クリス・プラット
経営不振に陥っていた、メジャーリーグのオークランド・アスレチックスを建て直したゼネラルマネージャーの奮闘を描いた作品。
大筋は実話に基づいてはいるが、若干脚色もされている。
実話との相違点
主人公の補佐役がいぇーる大学卒業となっているが、実際にはハーバード大卒であまりに自らと異なる外見の俳優だったことや、データオタクじみた設定に納得できなかったため実名の使用を拒否した。
ジェレミー・ジアンビやチャド・ブラッドフォードは映画序盤に他球団から獲得したかのように描かれているが、実話の場合は映画序盤に当たる時期には既に球団に在籍している。
完全なノンフィクションではないが、これ以外は基本的に事実通りだし20連勝を達成した試合に関して言えば、細かい試合展開も事実通り。
個人的には十分、ノンフィクション作品と言っても過言じゃないくらいの出来。
野球を観ていてもNPBだけだよって方は、ゼネラルマネージャーって何よ?セイバーメトリクスって何よ?と感じる人が多いと思う。
それを知るという意味でも、細かい描写がなされているので素晴らしい作品。
ゼネラルマネージャーは、最近は割と日本でも聞くようになってきたがセイバーメトリクスは中々聞きなれない単語だと思う。
セイバーメトリクスとは
野球においてデータを統計学的見地から客観的に分析し、選手の評価や戦略を考える分析手法で、野球史研究家・野球統計の専門家であったビル・ジェームズが1970年代に提唱した。
アメリカではすでに定着しているのだが、日本だとそもそも存在を知らない人がほとんどどころか、令和になった今でもセイバーメトリクス的には送りバントは勝利につながる作戦とは言えないと聞いて驚く解説者が居たりするくらい。
序盤のあらすじ
ビリー・ビーンは、かつて超高校級選手としてニューヨークメッツからドラフト1巡目指名を受けたスター候補生だった。
スカウトの言葉を信じ、名門スタンフォード大学の奨学生の権利を蹴ってまでプロの道を選んだビーンだったが、鳴かず飛ばずの日々を過ごし、さまざまな球団を転々としたのち現役を引退。
スカウトに転身し、第二の野球人生を歩み始める。
2001年のディビジョンシリーズで、オークランド・アスレチックスはニューヨーク・ヤンキースに敗れ、オフにはスター選手であるジョニー・デイモン、ジェイソン・ジアンビ、ジェイソン・イズリングハウゼンの3選手のフリー・エージェント移籍が確定的となった。
引用:Wikipedia
野球を知っていればより作品を楽しむことが出来るとは思うが、現状打破の方法、信念、覚悟を作中で嫌という程感じさせてくれるのもあって、知らない人が観ても勉強になるし感動できる。
決して野球映画ではないので、野球興味ないから~という理由で観ないのは勿体ない。
あくまでたまたま舞台が野球だっただけであって、根幹は胸に突き刺さるヒューマンドラマだと自分は思う。
自らの思い描いている絵や考え方の相違、周囲との温度差から来る、苦悩やストレスの描写が物凄くリアルで辛さが伝わってくるようだ。
1度でも、少しの人数でもまとめる立場になったことがある人であれば主人公に感情移入してしまうのではないだろうか。
自ら逃げ道を全て塞ぎ、自らの信念を貫き通す生き方をするのがどれだけ難しい事か。
そしてそれらに周囲が影響され、感動を与え、成功へと導いてくれる。
毎回、ブラピはこういう複雑に感情が入り乱れるようなシーンとか、表情、キャラクターの演じ方が本当にうまいなぁ関心してしまう。
それに加え、娘役の女の子のギターの弾き語りが泣けるのなんの……
ヒューマンドラマとして感動するも良し、データサイエンスの観点から観るも良し、ノンフィクション映画として観るも良しな傑作だった。
作品の小ネタ
元メジャーリーガーのイチローが一瞬ではあるが作中のモニターの中に映る形で出演している。
実際の試合シーンのリアリティを出すために、選手役には元野球選手や野球経験のある俳優を起用している。
製作の初期は監督の交代だったり脚本の交代だったりで、予定よりも撮影は遅れていた。
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