『ケープタウン』感想・紹介・レビュー【アパルトヘイトの負の遺産】
ケープタウン
2013年のフランス・南アフリカ共和国合作のクライム映画。
原作はキャリル・フェレ(フランス語版)、監督をジェロール・サムが務めた。
原題は『Zulu』(=アフリカの民族でズールー人のことを指す)
出演
- オーランド・ブルーム
- フォレスト・ウィテカー
- コンラッド・ケンプ
- ジョエル・カイエンベ
- インゲ・ベックマン
この作品は、南アフリカ共和国において1948-1994に政策として存在した「アパルトヘイト」の負の遺産を描いている。
(アパルトヘイト=アフリカーンス語で分離、隔離を意味する言葉でおもに南アフリカ共和国において白人と非白人の諸関係を規定する人種隔離政策のこと)
他にも、アパルトヘイト時代を描く作品は多々あるが(『マンデラの名もなき看守』等)日本という国に住んでいると実際行われていたこととして受け止めるのは少し難しいとは思う。
今作は政策の撤廃後ではあるがこういった政策が長く続いた結果として撤廃前と同じような考え方や価値観のままの人も少なくない実情をこれでもかというほど荒々しく伝えてくれる。
↓↓『マンデラの名もなき看守』の記事はこちら↓↓
ハリウッドに限らずいわゆる「アクション映画」だったりそれに似たカテゴリーでも、「暴力シーン」というのは勿論存在する。
しかし、この作品に関しては言葉に表現できない恐怖を感じるほどの
「暴力」そのものを描き切っていて、その他の作品とは比べようがない。
タイトルにもなっている『ケープタウン』は喜望峰という意味の Cape of Good Hope から来ているが、舞台になっているケープタウンの何処に希望や夢があるのだろうか。
序盤のあらすじ
南アフリカ共和国の都市ケープタウン。
そこである日、元人気ラグビー選手の娘が惨殺死体で発見される。
事件の捜査に当たるのはズールー人の警部アリ・ソケラ。
彼が率いるチームには酒と女に溺れる問題児ブライアン・エプキン刑事も所属していた。ブライアンとアリは、捜査を進めていくうちに、被害者が殺害前にとある薬物の売人と接触していたことを突き止める。
その薬物は最近多発している児童失踪事件の現場にも遺されていたものだった。
その薬物の恐ろしい成分を知った刑事二人は、事件の裏にはこの街に潜む恐ろしい犯罪組織が関わっていることを知る。
引用:Wikipedia
アパルトヘイト撤廃後、人権蹂躙を行った人物や団体の刑事訴追を行ったのだが、命令されて仕方なくそういったことをしたと言い訳をして追訴を逃れた白人が少なくない。
政府側も、終わりの見えない復讐の連鎖による殺し合いが続くぐらいならそれでいいと寛容的に対応した側面がある。
しかし、その政府の寛容な対応を良いことに撤廃前と同じように黒人を扱い、悪事を働く者も少なくない。
そういった意味も含め、この作品の「暴力」にはこれ以上ないリアリティがある。
上記のような予備知識が何もない状態で、気軽に見て楽しめる映画というのも勿論多く存在する。
しかし、今作はどっちかというとアパルトヘイト政策や当時の南アフリカ共和国の実情やズールー族についての予備知識があった方が、この映画の本質を理解しやすいかもしれない。
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