『ロード・オブ・ウォー』感想・紹介・レビュー【口の上手い商人と武器】
ロード・オブ・ウォー
2005年のアメリカ映画。
複数の武器商人への取材を元に作られた、ノンフィクションに基づくフィクション映画である。副題は「史上最強の武器商人と呼ばれた男」
出演
- ニコラス・ケイジ
- ジャレッド・レト
- イーサン・ホーク
- ブリジット・モイナハン
- イアン・ホルム
今作は「死の商人」「武器輸出」というアンタッチャブルなテーマを、ニコラス・ケイジの軽妙な演技力で出来る限り見やすく分かりやすくしつつも、最後は現代の世相を深く考えさせられる内容になっていて非常にバランスの取れた作品になっている。
そしてニコラス・ケイジ演じるユーリ・オルロフの人生を描いている様に見せながらも、最終的には人の心のどこかを深く抉ってくるような感覚に陥らせてくれる、昨今の映画にはあまり無いタイプの「リアリティ」を感じる事が出来た。
個人的な陰謀で世界をどうこうしようとかそういう事ではなく、取り扱っている商品知識が豊富で、ウィットに富んでいて、人間味に溢れた1人の優秀なセールスマンがただ必要なところに必要な物を持っていき必要なだけ売る。
ただ、その売っている商品が「人を殺せる」というだけ。
序盤のあらすじ
ユーリ・オルロフは、ウクライナからユダヤ人を装ってアメリカに移民してきた4人家族の長男である。家族と共にリトル・オデッサ(ニューヨーク・ブルックリン区のブライトン・ビーチの通称)に住みレストランを開いていた。
しかし、客の入りは悪く父親は見せかけだったユダヤ教を熱心に信仰するようになり、カトリックの母親と信仰を巡って対立していた。
そんな中、ユーリは、メニューの偵察に出かけた向いのレストランでロシアン・マフィアの銃撃戦に遭遇する。その光景にショックを受けたユーリーは、武器商人の道を歩むことを決意し、相棒に弟のヴィタリーを選ぶ。
引用:Wikipedia
テーマのわりに余りにも見易く出来ているからか、コンパクトにまとめすぎなんじゃないかと思うくらいだ。
ただ、しっかりと終盤に行くにつれ「取るも地獄、取らぬも地獄」と思える展開になっている。
終盤の展開も含め「生きる」という事の悲哀が作中で表現されているが、「生」という物に前向きな主人公に励まされるような、独特の魅力がある。
全てとは言わないが、多くの国が兵器や武器の製造に何らかの形で関係している。
武器商人に責任を被せたところで何も解決しない。
「戦争は悪」等と言う陳腐で広告的なオチでもない。
藻掻き苦しみながら生きている人間を描いた美しい作品と言えよう。
テーマがテーマだけに、「重い」「暗そう」「疲れそう」と思う人が多いかもしれないが、そういう人にもオススメ出来る作りになっているので是非見てほしい。
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