『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』感想・紹介・レビュー【孤独な天才数学者】
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
2014年のアメリカ合衆国の歴史ドラマ映画。
アンドリュー・ホッジスによる伝記『Alan Turing: The Enigma』を基にグレアム・ムーアが脚本を執筆し、モルテン・ティルドゥムが監督を務めた。
映画は第二次世界大戦中にエニグマ暗号の解読に取り組み、のちに同性間性行為で訴追を受けたイギリスの暗号解読者アラン・チューリングを描く。
出演
- ベネディクト・カンバーバッチ
- キーラ・ナイトレイ
- マシュー・グッド
- ロリー・キニア
- アレン・リーチ
- マーク・ストロング
”コンピューターの父”アラン・チューリングの半生を描いた傑作。
ナチス・ドイツの用いた暗号エニグマを解読するまでのプロセスや、アラン・チューリングの天才故の異質さや神経質さを生々しさすら感じる表現力で演じたベネディクト・カンバーバッチが素晴らしい。
エニグマ暗号解読の話ではあるが、アラン・チューリングのヒューマンドラマと言ってもいいだろう。
作品中の台詞であったり、予告編の
「私は犯罪者か、それとも英雄か」等にチューリング考案の人工知能を判定する「チューリング・テスト」的な言い回しもきちんと使われていてタイトルを含め(実際の所、タイトルの評判はあまり良くないが)重厚で秀逸な出来と言える。
そして、この作品からはもっとも恐ろしいのは、
「ナチスドイツ」でもなく
「戦争」でもなく
「国家」という顔の見えない怪物
なのだということが、淡々とそして着実に心に響いてくるだろう。
序盤のあらすじ
1951年、数学者アラン・チューリングの家が空き巣に入られ、ノック刑事ら2人の警官が捜査に当たる。取り調べを受けたチューリングは、ブレッチリー・パークで働いていた頃を回顧する。
1927年、寄宿学校で不遇の日々を送っていた若きチューリングは、友人クリストファー・モーコムに触発され、暗号の世界にのめりこんでいく。
チューリングは同性ながらモーコムに恋心を抱くが、告白しようとした矢先にモーコムは結核で死んでしまう。
イギリスがドイツに宣戦布告した1939年、チューリングはブレッチリー・パークを訪れ、海軍中佐アラストア・デニストンの指揮の下、ヒュー・アレグザンダー、ピーター・ヒルトン、キース・ファーマン、チャールズ・リチャーズとともに、ナチスの暗号機エニグマの解読に挑むチームを結成する。
引用:Wikipedia
第二次世界大戦に関する知識、この当時の「同性愛」という物がどういう物だったのか、統計学がどのように戦争に影響を及ぼすのか等、知っておくとこの作品は更に深く楽しめるかもしれない。
勿論、全く知識がなかったとしてもストーリーの進行度と比例するように、様々な事実を知らされ物語に引き込まれる。
作中で「身に危険を寄せ付けない為には、秘密を持ってはいけない」とチューリングが考えるシーンがあるのだが、その自分自身の生涯全てにおいて大きすぎる秘密と共にあったのだろうと思うと、胸が締め付けられる。
この作品だけでは語りきれないことも多いので個人的には、アラン・チューリングについてある程度調べた後で再度この作品を観ると、違った観方が出来ると思う。
そして、この作品を見たあなたは「アラン・チューリング」という偉大な人物の事を生涯忘れることは無い。
観るたびに深い感慨に包まれる素晴らしい作品。
第二次世界大戦下の話ではあるが、派手なドンパチシーンや飛び散る血潮なんて野暮なものは一切ない。
ひたすらに、静かに、
確かにそこにある執念とも取れる一つの情熱。
儚くも強いただ一人の人間の思い。
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