『ザ・シークレットマン』感想・紹介・レビュー【ウォーターゲート事件】
ザ・シークレットマン
2017年のアメリカ合衆国の伝記政治映画。
監督はピーター・ランデズマンが務めた。
ウォーターゲート事件の情報提供者「ディープスロート」こと、当時の連邦捜査局(FBI)副長官マーク・フェルトを描いた作品。
出演
- リーアム・ニーソン
- ダイアン・レイン
- マートン・チョーカシュ
- アイク・バリンホルツ
- トニー・ゴールドウィン
1972年のウォーターゲート事件をディープスロート側から扱った作品。
FBI副長官のフェルトが、フーバー長官の死去後に昇任できなかったこと、30年にわたり精勤し愛したFBIの独立性をニクソン大統領のホワイトハウスが脅かそうとしたことに反発して情報提供者であるディープスロートになっていったことが描かれる。
ウォーターゲート事件とは
1974年8月9日にリチャード・ニクソン大統領が辞任するまでの盗聴、侵入、裁判、もみ消し、司法妨害、証拠隠滅、事件報道、上院特別調査委員会、録音テープ、特別検察官解任、大統領弾劾発議、大統領辞任のすべての経過を総称して「ウォーターゲート事件」という。
引用:Wikipedia
政治的な要素だけではなく、フェルトの奥さんとのこじれた関係、失踪した娘の捜索など、彼のプライベートも丁寧に描いている。
この複雑ないくつもの苦悩を抱えたフェルトをリーアム・ニーソンが抑え目の大人な演技で表現していて素晴らしかった。
重く暗くなりがちな政治映画の顛末を、静かだが迫力満点に描いたのがこの作品。
俳優陣の名演、製作陣の手腕が光る。
序盤のあらすじ
長年FBI長官を務めていたフーヴァー長官が亡くなった。
副長官代理のマーク・フェルトは新しい長官に任命されると思っていたが、ニクソン大統領は自分の息のかかったパトリック・グレイを長官代理に任命した。
そんな時、民主党本部のウォーターゲートビルに盗聴器がしかけられ、犯人として元FBIと元CIA関係者などが逮捕された。
やがて犯人グループはニクソン大統領再選委員会の関係者であることが明らかになった。フェルトは捜査を始めるが、グレイはホワイトハウスやCIAの事情聴取にはグレイの許可を得るようにフェルトに言い、フェルトはFBIの独立性を守ろうと対立する。
グレイは48時間で捜査を切り上げろとも、通話記録や銀行口座には手を出すなとも言う。フェルトはタイム誌とワシントン・ポストに電話する。
翌日、タイム誌とワシントン・ポストはスクープ記事を出す。
引用:Wikipedia
「96時間」(2008年制作の仏・米合作のアクション映画)以降アクション俳優と思われがちだったリーアム・ニーソンだが、本来はこういう微妙な立場を絶妙な雰囲気と表情で深みある演技が上手い数少ない俳優だと自分は思っていたからか、この映画でその演技が観ることが出来て嬉しかった。
「ディープ・スロート」の行為は「正義」と呼べるかどうかは賛否両論だが、現代で言えば身を挺して上層部の不正を律し組織を守る「内部告発」に相当すると考えると一人の組織人としては相当な覚悟と勇気が必要なことが分かる。
(長官になれなかったことに対する不満もあっただろうが)
冒頭でも書いた通りこの作品は「ウォーターゲート事件」に基づいて作られているので、知らなくても充分楽しめると思うが事件について少し調べてから観てみるのも良いと思う。
(ウォーターゲート事件以降、政権周辺で起きた不祥事に対してこの事件をもじる形で「〇〇ゲート」といった俗称がつけられるケースがあったり)
因みに
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ペンタゴン・ペーパーズ (2017年)
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大統領の陰謀 (1976年)
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ザ・シークレットマン (2017年)
の順に見ると37代アメリカ合衆国大統領であるリチャード・ミルハウス・ニクソン政権下で何が起きていたかが分かったりもするので、政治的な映画が好みの人には是非3作とも見てほしい。
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